トップに聞く!〜ファーウェイのSIMフリースマホが絶好調の理由〜

■売れ筋価格は3万円前後

ーーファーウェイのラインナップの中で最も売れているのは「HUAWEI nova lite」「HUAWEI P10 lite」など、「lite」と付く低価格モデルだと認識しています。「lite」が売れる理由を、どのように分析されていますか?

呉波:初めて「lite」を出したのは、2015年6月に発売した「HUAWEI P8 lite」になります。そのモデルを投入した時点で、一番売れることは想定していました。P8 liteは2万8600円(税抜)だったのですが、それはキャリアのフラッグシップモデルでの端末購入補助適用後の価格とほぼ同じです。たとえば、iPhoneの本体価格は8万円くらいですが、いろいろな補助・割引によって、実質価格は3〜4万円になります。SIMフリー市場で最も売れる価格帯も3万円台です。キャリアとSIMフリーのスマホが同じ価格帯の場合、次は料金プランを比較しますよね。キャリアでは月に7000円程度かかるところ、格安SIMでは2000円程度で使えるということから、3万円前後のSIMフリースマホと格安SIMを選ぶ人が多いようです。

▲今年2月に発売されたHUAWEI nova liteは、多くのMVNOが2万円前後で販売

ーー6月に発売した「HUAWEI P10 lite」は2万9980円(税抜)ですが、まさに戦略的な価格設定なんですね。

呉波:P10 liteの発売後は、昨年発売したP9 liteの売れ行きが鈍ると予測していたのですが、実際にはP10 liteは好調な売れ行きを記録し、一方のP9 liteもよく売れています。P9 liteは昨年6月の発売以来、ロングセラーを続けていますが、P10 liteの発売後はさらに販売台数が伸びました。日本のSIMフリー市場がどんどん大きくなっているからだと思います。

▲昨年大ヒットしたHUAWEI P9 liteを上回る出足のHUAWEI P10 lite

 

■キャリアの新プランは逆風ではなく追い風に

ーーNTTドコモの「docomo with」や、auの「auピタットプラン」など、大手キャリアもMVNOに対抗するプランを出しましたが、その影響は?

呉波:SIMフリー市場にとって良い影響となると思います。プランを安くすることにより、キャリアは端末の購入補助を出せなくなります。その結果、スマホを本来の価格で販売することになります。本来の価格で比較した場合、SIMフリースマホのほうがスペックが勝る場合が多いですしね。

ーー端末のシリーズによって、購入層は異なりますか?

呉波:Pシリーズ、novaシリーズともに、一番売れているのは「lite」ですが、P9 lite、P10 liteは30〜50代の男性に人気が高いですね。novaシリーズは若いユーザー向けに出している製品ですが、実際にnova liteも20代以下に支持されているようです。

ーーフラッグシップのP10/P10 Plusの購入層は?

呉波:P10/P10 Plusは、ライカのレンズを3つも搭載していますし、価格も高めに設定しています。なので、やはり収入に余裕のある方やギーク層に売れています。また、カメラの愛好家にも購入いただいています。

▲左がHUAWEI P10 Plus、右がHUAWEI P10。どちらも背面にライカ製のWレンズを搭載し、インカメラのレンズもライカ製。ただし、WレンズはP10 Plusのほうが高性能

 

ーー日本では、他国に比べるとフラッグップの比率は高いのでしょうか? それとも低いのでしょうか?

呉波:日本では、フラッグシップの割合はまだまだ低いですね。なぜなら、SIMフリー市場で販売しているので、端末の購入補助などの割引がありません。ヨーロッパでは、弊社のフラッグシップは各国のキャリアから発売されています。そして、日本のキャリアと同じような購入補助ありきの販売方法になっています。

ーー国・地域によって、発売する端末が異なるんですよね?

呉波:はい。「HUAWEI」ブランドの製品は出しておらず、「honor」ブランドの製品だけを販売している国もあります。HUAWEI Pシリーズだけで、上位モデルのHUAWEI Mateシリーズは出していない国もありますし、その逆の国もあります。

ーー「HUAWEI」と「honor」の違いは?

呉波:「honor」はオンライン販売のみという位置付けです。流通にかかるコストを削減でき、量販店へのマージンなどもないので、「HUAWEI」ブランドの製品よりもコスパが高いことが特長です。日本ではhonorシリーズを発売して3年目になりますが、売れ行きは好調なので、今後も継続的にリリースしていく予定です。

ーーということは、グローバルでは発表済みの「honor 9」の日本発売も近いのでしょうか?

呉波:まだ具体的な発売時期は決まっていません。決まり次第、お知らせします。

ーー海外の展示会で「honor 9」を見ましたが、非常に完成度の高い端末ですね。

呉波:honor 9は、背面パネルにもガラスを用いていますが、日本の消費者の好みに合ったデザインといえるかもしれませんね。

▲日本未発売のhonor 9。背面にも曲面ガラスを採用し、質感の高い仕上がり

 

【次ページ】PC市場も大きな変化を迎える予兆が……

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