山本さんは、マツダファンやロードスター愛好家が十分に納得できる内容、サービスをすでに検討されていますが、今回のレストアサービスには、もうひとつ注目すべきこだわりがあったのです。
それは、ドイツに本拠を置く第三者検査機関「テュフ ラインラント ジャパン(TÜV Rheinland)」による認証です。テュフは、自動車メーカー向けの欧州型式認証、板金塗装工場やクラシックカーの評価・認証サービスを提供する機関で、山本さんはNAのレストアにおいて、サービスを行うマツダの社内施設がクラシックガレージの認証を獲得できるよう、現在、取り組んでいるのだとか。
「『マツダはロードスターを生んだメーカーなのだから、自信を持って作業に当たればいいのでは?』という意見もいただきました。でも、私たちは新車をつくってはいるけれど、レストアはやったことがありません。単に元の姿に戻すだけでなく、どのようにお客さまと向き合い、どんな契約をするのか。レストア工場とはどんな工場や設備で、どのような作業のプロセスを踏んでいるのか…。レストアにはレストアの流儀があるのです。レストア車両に対する品質を確保するために、私たちは学ばなければなりません。そのために、サービス開始までに確かな第三者のチェックを受け、『間違いなし』との太鼓判を押してもらう必要があると考えています」
「そこまでやるのか…」と感じるとともに、山本さんの言葉からは、ただの自己満足などでは終わらせないという、決意みたいなものが伝わってきます。それは、ロードスターの開発に携わった、いわば生みの親、育ての親ならではの愛情かもしれません。
「ロードスターの価値は、走る歓びにあると思っています。ガレージに仕舞い込むのではなく、積極的に走りを楽しむ。そうしたファンの皆さんの愛車が、ミーティングに何百台も集まってきます。こうした状況が続くこと、いいクルマを大事にすること、それが文化だと思いますし、今の状況を大事にしたいと考えています。ですから今回のレストアサービスも、簡単には止められないのです」
NAのレストアサービスでは、現在までにレッドとグリーン、2台のサンプルカーが完成。いずれも艶やかで鮮やかなボディカラー、ピシッと張りのあるソフトトップ、そして、わずかにリアが上がったオリジナルの車高など、新車当時の姿を知る人なら思わず膝を打つ仕上がりとなっています。
そして、気になる今後ですが、2017年内に受付がスタート、’18年初頭にはサービスの開始、復刻パーツの発売が予定されています。価格などの詳細については現在、最終検討中とのことなので、マツダからの続報を楽しみに待ちたいと思います。
(文&写真/村田尚之)
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