クレイジーケンバンド横山剣とヤマハ「PSR-280」【アーティストの愛用品】

──今回、“愛機”をお持ちいただいたわけなんですが…

横山剣 はい、これなんですけどね。(電源を入れる…が、音が出ない)アレッ? つかないや。アレ?(と、サイド部分をバシバシ叩き始める)

──そんな、「ドラえもん」でTVが壊れた時みたいな(笑)

横山 あ、ついた。(ポロロン♪と弾く)いやぁ、もうベテランですからね(笑)

──よかったです(笑)。というわけで、我々モノメディアということで、プロミュージシャンの方々が普段どういうオーディオ機器を使っているかを見せていただくという企画なんですよ。

横山 全然プロらしくないですけどね(笑)。10数年前に買ったんですけど、ただ鍵盤でコードが鳴らせればいいという楽器がほしくて。全体にもっとコンパクトなものはたくさんあるんですけど、鍵盤部分が小さいとストレスが溜まるので、これぐらいの大きさがあるとうれしいなということでね。

▲2001年発売の電子キーボード、ヤマハ「PSR-280」。ポータトーンの愛称で知られ、現在も最新モデルが発売されている

──YAMAHAの「PSR-280」ですね。最初に購入された時は、いろいろ試した上で決めたんですか?

横山 ツアー先で時間がない時に、曲が作りたくなったんですよ。それでたまたまあった楽器屋さんに入って、「あ、これでいいです」って(笑)。

──即買いじゃないですか!

横山 まぁ、これの先代の先代の先代ぐらいの機種が気に入ってて、それに連なるものであればいいというのもあって。これ以降のシリーズは自分的にはちょっと使い勝手がよくなくて、これまでが好きなんですね。実際、もっと新しい機種も持ってはいるんですけど、億劫でこっちばっかり使ってるんですよね。新しい機種が紐靴だとすれば、こっちは健康サンダルというか(笑)。

──足になじむわけですね(笑)。どういう部分がいいんでしょうか。

横山 まず、メチャクチャ軽いんですよ。それにACだけでなく、電池で起動できる。単1電池6個で。だからどこでも弾けるんです。公園とか、車の中とか。

▲軽イイネ!

──車の中で弾くんですか?

横山 運転中が一番メロディが浮かぶんですよ。だから浮かぶと車を停めて、後部座席に載せたコイツを取り出して弾くんです。そのために電池がいるんですね。弾こうとした時に電池が切れてるとガッカリしちゃいますよ(笑)。車内でもACアダプターをつなげば使えるんですけど、その手続きをやってるうちに忘れちゃうから。

──メロディをメモする感じなんですか?

横山 歌メロは頭の中でずっと鳴ってるからいいんですけど、コード進行ですよね。このメロディにこういうコードを当てようという思いつきが、すぐやらないと忘れちゃう。緊急作曲用ですね。

──録音機能もついてるんですか?

横山 いや、録音はガラケーでやります。音質は全然だけど、とりあえず脳内にあるものの導火線になればいいという感じですから。いまだにガラケーなんですよ、絶望的ですよね(笑)。

──そこは個人のお好みですから(笑)。

横山 あとは、トランスポーズといって、キーを自由に変えられるのがありがたいんです(と言いながら実演)。これが便利で、この機能を使ってできた曲も多いですね。それと、このDJボタン。この「イエー!」という声は『まっぴらロック』という曲で使ってるし、女性の声は『1107』という曲で使いました。あとは特にどうってことないですね。他の機能はほとんど使ってません。

──どうってことない!(笑) こんなに、テープで補修してまで愛用してるのに、ですか?

横山 今日はよりによって、一番ヒドいヤツ持って来ちゃったな(笑)。今、同じ機種を5台持ってるんですよ。「本牧ガレージ」っていう、僕らの楽器置き場兼バイク置き場があって、そこに1~2台。あとは事務所に1台、自宅に1台という感じで分散して置いていて、どこでも行った先でできるようにしてます。

▲テープで補修してでも使い続けるほどお気に入り

──ご自宅で使われることもあるんですね。

横山 それも緊急時だけですね。家ではまったく作曲はしませんし、何も浮かびません。家は家族や犬がいて戦争状態で、音楽すら聞きませんから。音楽を聞くのに、一番天国なのは車の中なんですよ。爆音で聞けますからね。自分たちの音源も、スタジオでミックスが終わったら車の中で聞いて、最終のOKを出してるんです。

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