──なるほど! ではカーオーディオにもこだわりが?
横山 今の車もオーディオの良さで選んでますから。クライスラーなんですけど、店の⼈にオーディオを聞かせてもらったら、Harman Kardonのスピーカーの⾳がよかったのですぐに決めました。最初に影響を受けたのは、大瀧詠一さん。キャデラックのフリートウッドというデカい車に乗ってたんですね。やっぱり大物はいい車に乗るんだなと思ったら、大瀧さんはキャデラックが好きというよりも、オーディオ機器と車内での響きがよかったから選んだらしいんですよ。(音楽評論家の)湯浅学さんにその話を聞いて、じゃあ俺もキャデラックにしよう!と思って買ったんです。
──普段、音楽を聞くのは車の中が多いんですか?
横山 わりと最近iPodを買って、Bluetoothで飛ばせるので気に入ってるんですよ。あ、Bluetoothなんて普通ですかね。僕にとっては革命的なんですけど(笑)。それまではMacBookを車の中に持ち込んで、iTunesからBluetoothで飛ばしてたんですけど、小さくて楽になりました(笑)。まあでもそれは簡易的に聞く場合で、本当に本格的に聞く場合は本牧ガレージにあるテクニクスのレコードプレイヤーで聞きますね。
──やっぱり、一番はレコードですか?
横山 厳密に言うと、レコードだから必ずしもいい音とは限らないんですけどね。でも音がいいものはレコードで聞くのがいいです。聞く時に針を落とす感じがいいし、めんどくさいと思われるかもしれないけど、わざわざひっくり返して第2章が始まる感じとかも好きですね。CDではそれができないので、アルバムの中にジングルを入れたりしてますけど。
──CRAZY KEN BANDの作品は、どう聞くのが一番のオススメですか?
横山 やっぱりカーステレオで聞いてほしいですね。なるべく車の中で、大音量で。
──よく分かります(笑)。さて、ニューアルバム『GOING TO A GO-GO』がリリース間近ですね。テーマは「支離滅裂」ということですが…。
横山 オリジナルアルバムは3年ぶりなんですよ。だから溜めてた分、パッションが爆発しちゃって、四方八方に飛び散っちゃってるんですね。いい意味で支離滅裂なんです。
──どの曲も、楽しんで思いついたものを歌にした感じを受けました。
横山 ずっとそんな作り方ですからね。行き当たりばったりの曲も多いんですよ。できた曲を、片っ端からレコーディングしていっちゃうんで、あらかじめテーマを決めて作ったことがないですから。
──そうなんですか!
横山 一応、ミーティングをやったりもしてるんですよ。でも、いざ作曲してレコーディングとなると、そこで何を話したかなんて全部忘れちゃうから(笑)。ただ完成した後から議事録を見ると、「あ、意外と合ってたな」なんてね(笑)。まあ、曲って考えてできるものじゃないですから。どこかに寄せようとするなら、歌詞で寄せるしかないんですけど、そうすると天然ウナギと養殖ウナギの違いみたいになっちゃう。やっぱり天然がうまいじゃないですか。
──そうですね(笑)。
横山 『タイガー&ドラゴン』が今までで一番セールスがよかったんですけど、あれこそ天然も天然で、何の制約もなく、運転しながら出てきただけの曲ですから。だからなるべく天然で作った方が刺さるんですよね。
──そしてツアーも始まりますね。
横山 8月25日の福生市民会館から11月25日の沖縄・ナムラホールまで、21本。その間に、9月24日に横浜アリーナで20周年記念スペシャルライブがあります。僕らにとっては21本のツアーだけど、お客さんにとってはその土地土地で年に1回しか見られないライブですからね。覚悟を決めていっぱい練習して、老若男女全ての人に楽しんでもらえるように、「来てよかったね」と思ってもらえるツアーにしたいですね。
──選曲はニューアルバム中心ですか?
横山 3分の1ぐらいですかね。4~5作前の、まだ成長中の曲もたくさんありますから、選曲には苦労してます(笑)。曲ってCDが完成形じゃなくて、ライブなどを経て育っていくものですからね。
──頭の中で生まれたものが「PSR-280」を通じて卵になって、レコーディングで命を吹き込まれて、さらに育つと。
横山 本当にそうですね。その意味では、この「PSR-280」にはだいぶ助けられてますね。子供用だけど出来の良い相棒ですよ。いないと困るっていうね。これがなかったら今のCKBはない!
──では最後に、ニューアルバム発売とツアーへの意気込みを改めてお願いします。
横山 サッカーで言えば、今までのキャリアが前半戦。この2年間のお休みがハーフタイムで、これからCRAZY KEN BANDの後半戦、最終章の始まりです。そういう意気込みで、『GOING TO A GO-GO』というタイトルにしたので、皆さんもこの渦に巻き込まれに来てください。
──これから後半戦ということは、あと20年楽しめるわけですか。
横山 アディショナル・タイムも、PKもありますから、まだまだです(笑)。いつも加山雄三さんにヒントをもらってるんですけど、加山さんが81歳であんなにお元気なのを考えると、あと20年はできるかもしれない。あ、あと20年やってもまだ加山さんより年下だ。じゃあ、まだまだ大丈夫ですね(笑)。
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