――古賀さんと鈴木さんの出会いはどういうきっかけだったのでしょうか?
古賀:業務用空気清浄機を作って販売して、次はコンシューマ製品を考えますよね。でも、どれだけ性能がよくても、カッコ悪いと商品として全然魅力がないじゃないですか。私はそこで悩んでいたんです。
そんなときに、昔のソニー時代の仲間が紹介したい人がいると、食事に誘ってくれたんです。それが2011年5月か6月頃。新橋の居酒屋で一緒に飲んだのが最初の出会いでしたね。
――鈴木さんはその頃はすでに独立されていた?
鈴木:リアル・フリートから独立して、cado(カドー)というデザイン会社を立ち上げていました。引き続きamadanaのデザインは引き受けていましたし、家電系のプロダクトデザインの仕事も引き受けていました。お会いしたのは、目的があったわけじゃなくて、たまたまのきっかけだったんです。
古賀:そうそう。私はデザインで悩んでいる、片や鈴木はデザインが良くても技術が伴わないと製品として完成しないという悩みを抱えていた。ある意味お互いを補完する関係でした。そこで『じゃあ一緒にやろう』と。
最初は外注というか契約のような形態でしたが、2012年の7月にエクレアという会社を立ち上げて、鈴木にも取締役として入ってもらい、2012年11月末に第一号機「AP-C700」を発表しました。
――そこでも空気清浄機を作ることは決まっていたんですか?
古賀:空気清浄機は決まっていました。ラインナップを見せると、彼がカッコいいデザインを描いてくる。本当にカッコいい。だからデザインに口を出したことはないんですよ。
鈴木:最初に古賀さんがどういうものを作っていきたいのか話し合いしました。すると「環境や健康に関わるものをやりたい」と。そして、家庭内に置いて植物を育てられるようなLEDもやれるといいねって話をしましたね。
デザインに関しては、自分ではそれほど突飛だとは思っていません。多くの場合、家電というと家具のように空間に溶け込むようなものがいいと言われますが、一輪の花が空間を華やかにするように、僕らの商品を見て喜びを感じたり、気持ちが豊かになるようなものを作りたい。カッコいいなとか、ステキだなと思ってもらえるようなものを作りたい。
たとえばシャンパンゴールドの空気清浄機はこれまでなかったので、突飛に思うかもしれません。ですが、白いプラスチックの製品を和室に置くよりも、断然似合いますよ。だから、弊社のシャンパンゴールドの製品は5年前からやっているんですが、一番人気がありますね。
――最初に立ち上げた中国のCTKは現在生産を担当されている?
古賀:製造は深圳のCTKが行っています。会社としては、最初に販売会社として知人が立ち上げたエクレアと、鈴木のカドーがありました。その後、会社を統合して、エクレアをカドーに改め、元カドーはカドーデザインという100%子会社にしています。鈴木はカドーデザインの代表取締役社長も務めています。
――現在は主に空気清浄機や加湿器を手がけられています。今後の予定を教えてください。
古賀:別にそこにこだわっているわけじゃありません。ただ、いま我々が領域として考えているのは、『キレイにすること』なんです。だから、空気をキレイにする、あるいは水をキレイにする。
環境や健康にいいもの、という領域でやっていきたいと考えています。いろんなことをやりたいとは思いますが、まだまだ、今の延長線上でやり残していることがたくさんありますので、まずはここからですね。
――今年はウォーターダイレクト社との協業もありました。今後も、いろんな企業との協業はありそうですか?
鈴木:ウォーターサーバーに関しては、最初は子会社のカドーデザインとしてお仕事をスタートしたんですが、最終的には製品づくりまで参加したので、カドーとの協業という形になりました。
古賀:協業はあると思います。具体的なことはまだ何も決まっていませんが、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)との資本提携もしました。いろんなチャンスがあると思っています。キーワードとなる「水と空気」と絡んだところでの生活を豊かにする製品群をまずは極めたいと考えています。
――驚くようなジャンルの商品が出たりする可能性も?
古賀:突然、エンターテインメント領域に行ったり、キッチン家電をやるかというと、カドーとしてはありません。メカトロニクスの技術を活かせる領域の製品群をしっかりとやっていきたいですね。それ以外のことは、あえて私が出る幕はない。若い世代におまかせしたいですね。
鈴木:これからも他にはないようなこだわった製品を作っていきたいですね。
(取材・文/コヤマタカヒロ)
【第1部】“性能とデザインで勝負する”cadoの家電とは
【第2部】“日本の技術”が詰まった 空気清浄機と加湿器
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