■BALMUDA The Light開発のきっかけは「親心」
バルミューダが照明器具を発売するのは、今回が初めてではありません。実は、2008年にも「Airline」というLEDデスクライトを発売しているのです。
とはいえ、「Airline」と「BALMUDA The Light」について、寺尾氏は“関係ない”と言い切ります。
「2010年に扇風機『The GreenFan』を出すまでは、単純に“自分が欲しいもの”をただ作るというスタンスでした。あくまでも自分の思いを完遂したいという趣味の商品。しかし、家電を作り始めてからは自分が欲しいという気持ちはあくまでも開発のきっかけであり、根底には“人の役に立ちたい”という気持ちがあります。たまたま過去にも照明器具を出していたというだけですね」
今回の「BALMUDA The Light」を作ったのは、“子どもの目を守りたい”という2児の父でもある寺尾氏自身の“親心”からスタートしています。開発がスタートしたのは2014年。発売までに4年の歳月を経た大きな理由は、「企画」にあったそうです。
「BALMUDA The Lightを開発する過程で、まったく別のことに取り掛かっていました。まだその取り組みを諦めたわけではないので詳細は言えませんが、結果としてシンプルな形に戻したんです。いつも途中はいろいろなことを空想しますが、最終的にはシンプルなものに着地しています」
必要な機能に特化するバルミューダ製品とは異なり、最近ではIoT化やAI、ロボティクスなどの分野に家電メーカーが注力しています。しかし、バルミューダも技術開発は進めており、すでに2012年の段階で加湿器とヒーターはiPhoneアプリを使った操作に対応しています。
「技術を入れることは簡単ですが、それが本当に必要なのかが疑問です。人生をリアルに考えたときに、我々はそんなに複雑なことがしたいわけではありません。家電が外から操作できるのは人生のなかで考えるとどうでもいいことなのではないかと個人的には思うんです。しかし、技術開発は進めているので、投入するタイミングは考えどころですね」