■あらゆるシーンでの利用を想定した「耐衝撃性」
ーーでは耐衝撃性についても同じく試験があるんですね。
加藤:はい、縋衝撃試験(ヘッドのみ)や自由落下試験を行っています。
ーー海では岩場なんかもありますし、そう考えると山でも木にぶつけたりする可能性はありますよね。
加藤:そうですね。ですからプロスペックスは登山家の方にも愛用されています。
ーーまさに「全天候型」というわけですね!
■磁界の影響を受けにくい「耐磁性能」とは?
ーー最後になりますが、“耐磁性能”ってそもそも何なんでしょうか? 要するに磁力への耐性があるということですよね。なぜダイバーズウオッチに、そんな機能が…
加藤:これはですね、ダイビングする際に船上で磁石を利用した機材が多いのが大きな理由です。磁気を発する機材などにうっかり時計を近づけてしまうと、磁気を帯びてしまい狂いが生じる原因になります。JIS規格の1種という項目になるのですが、4800A/m以上の磁界に耐えられなければなりません。
ーーなるほど! 最近ではスマートフォンなどの身近な電子機器も磁力を発していますしね。
加藤:磁性体(磁気を帯びたもの)については距離で検査する仕組みになっていまして、セイコーが準拠しているJIS規格の場合…
・磁力を発するものから5cmの距離(4800A/m)で性能を維持できる時計は1種 ・磁力を発するものから1cmの距離(16000A/m)で維持できる場合は2種
に分類されます。
基本的には、10cmも離してもらえば磁力の影響はほぼ受けません。クォーツ式なら針を再調整すれば大丈夫ですが、機械式時計の場合はテンプなどの金属部分に帯磁すると、狂ったり止まったりしてしまいます。
ーーそれで機械式時計は耐磁性能が大事なんですね。
加藤:そうなんです。これだけの項目の試験をクリアして初めてダイバーズウオッチを名乗ることができます。だから全ての時計の中で、最も信頼の置ける腕時計というのがダイバーズなのです。
ーーとても勉強になりました。ありがとうございます!
* * *
今回は海で使用しましたが、入る前にはりゅうずがしっかりと閉まっているかチェックしてください、とのこと。また海水に浸けた後は真水で洗い流すのも重要。数時間は浸けて、砂などの細かい汚れも落とすために、柔らかめの歯ブラシなどで軽くこすってあげるとベターです。
海でも山でもビジネスでも、まさに全天候型のダイバーズウオッチ。メンテナンスをしっかりとして、あらゆる場所に連れて行きたくなる逸品でした。
[関連記事]
「ティソ シースター1000」に機械式オールブラックモデルが新登場!
空・海・星をイメージした美しく、クラシカルな一本で落ちついた大人の印象に
(取材・文/&GP編集部 三宅隆、写真/松山勇樹、田口陽介、&GP三宅隆)