【知識】コンセント経由でネットにつながる「PLC」って今どうなってるの?

 1階と2階の間というのは、電線の距離が単純に長いというのもあるんですが、分電盤の問題もありました。簡単に言えば200ボルトで入ってきた電圧を、分電盤で100ボルトと100ボルトに分けて、L1、L2というように各階、各部屋に流しているんです。その分かれる部分でPLCの電波が減衰してしまうという特徴がありました。場所によっては同じ部屋でもコンセントによってL1、L2が分かれているというところもあって、この影響を受けてしまうんです。第1世代の商品ではそういうことがあって、せっかく期待して買っていただいたのにがっかりさせてしまったということはありました。

▲第3世代のPLCアダプタとなるアイ・オー・データ「PLC-HP240EAシリーズ」

今は第3世代になっていまして、世代を経るごとに抑えていた出力を上げたり、ノイズの耐性を高めたりと地道な改良を加えて、かなり改善されています。

──出力を上げていったというのは技術的なことよりも、「これぐらいまでは大丈夫だろう」と見極めて開放していったということなんでしょうか?

 そうですね。つながらないという事態を解消する必要がありましたし、出力を上げても不要な電波が出ないことが確認できたということもあります。

──では、今のPLCアダプターが一番活躍しそうな状況というのは、どういうところでしょう?

岩丸 これはご家庭向けというよりは法人向けの話になってしまうんですが、工場や倉庫、それから大きなビルなど、使う階に逐一LANのポートを増設することが困難という状況では、長距離でも、あるいは部屋やフロアをまたいでもネット回線を通すことができるので、使っていただきたい場面ですね。ご家庭ですと、無線通信が難しい奥の部屋、特に鉄筋のマンションなどの場合は推奨できる環境かなと思います。

▲自宅でもPLCが有効な環境もある(画像提供:アイ・オー・データ機器)

──最近はさまざまな技術によってWi-Fiの届く範囲が強化されていますよね。そことの比較ではいかがでしょう?

 比較というわけではなくて、電波というものはどうしても鉄板を越えることができないんです。そういう環境では無線LANは使えないですよね。でも電気配線が通っていれば、PLCは利用することができます。なので、無線LANやWi-FiとPLCはあまり競合しないと思っています。登場した当初はWi-Fiと比較するプロモーションもしていたんですが、今となっては「スマホとPLCはつながりますか」と言ったら、当然つながらないわけですよ。

▲PLCアタプダは有線LANポートを備える

──PLCは有線接続が前提ですからね。

 でも、先ほど岩丸が言ったように鉄筋の建物や地下で電波が届きにくいという場所に電波を通すことはできます。その意味では無線を補完する存在なのかなとは思います。

──子機にルーター機能とWi-Fiの機能を持たせた商品は存在したことがあるんでしょうか。

 他社では過去に発売されてましたね。ただ当社では製品化に至る需要は正直、見出せていません。

──登場した当初はWi-Fiもそれほど普及していませんでしたよね。スマホもなかったわけですし。そう考えると、時代が変わったことによってニーズも変わってきたのかなという印象がありますね。現在の需要は法人や工場などが主なんでしょうか。

 そうですね。昔は量販店に売り場があったんですが、今は…あったっけ?(苦笑)

岩丸 大きいところなら…というところですね。弊社の本社がある金沢のお店では置いていただけていないというのが現状です…。

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