釣具の「ダイワ」は第2のザ・ノース・フェイスになれるのか

■釣りの楽しさをアパレルでもっと身近に

——釣りの「ダイワ」が本格的なアパレル分野に進出しようと思った狙いはどこにあるんでしょうか。

▲今回、取材に応じてくれたグローブライド株式会社フィッシング営業本部アパレルマーケティング部の佐藤雅基さん

佐藤さん フィッシングは水に近く、夏場は直射日光もキツいハードなアウトドアアクティビティです。そんな現場で培われた技術や知識をタウンユースできるデザインに落とし込み、機能性とアーバンな雰囲気を兼ね備えた高機能アイテムとしてアップデートしました。フィッシング自体は趣味としてメジャーですが、実際は中々ハードルが高かったりします。そこで、入り口をアパレルにすることで身近に感じてもらい、より多くの人がフィッシングに関心を持っていただけるようにしました。

▲2020年春夏展示会の様子。平日にも関わらず多くの人が会場を訪れ、ダイワの注目度の高さが伺えた

——アパレルにフィッシングの要素が加わると、どういう利点があるのでしょうか。

佐藤さん フィッシングシーンでの最重要課題は“水”にどう対処するか。今回のラインナップにもあるんですが、“ジャガード織り”という特殊な製法で作られたジャケットがあります。通常のレインウエアでは、縫製の後にシームテープを施して防水性を高めます。しかしジャガード織りは、同じ素材の中で柄の表現や密度を調整して強度を上げたりできる織り方です。つまり縫製箇所を最小限にできるので、十分な強度と防水性を得られ、さらに着心地も快適にできました。これは常に水と対峙している我々だからこそできたものだと自負しています。

▲中央のレインジャケットは、欧州最大のスポーツ見本市「ISPO(イスポ)」のアウトドア部門にてWinnerの称号を獲得。フィッシングを専門とするブランドでは快挙

▲フード部分には特殊な編み方の糸を内蔵しており、絞ると自動で楕円形に変化。顔から水の侵入を防ぐと同時に視認性を高めるダイワの特許技術だ。普段自転車に乗る人にもうってつけ

 

■新たにウィメンズラインを追加

——ダイワアパレルが今後注目している分野や、新たな試みなどはありますか。

佐藤さん フィッシングの男女比は、男性が圧倒的です。ところが、神奈川県の三崎港で開催される女性だけのカワハギ釣り大会には、約200名の女性が参加して盛り上がりをみせていました。でも実はフィッシングウエアにはレディースがほとんどなく、メンズのSサイズを仕方なく着る、という人も少なくありません。そこで今回は、女性のラインに合うように設計したのはもちろん、カップルがお揃いで着られるユニセックスなアイテムも新たに追加しました。

▲昨年オープンした渋谷パルコに直営店を構えるレディースブランド「サカヨリ」のデザイナーが製作に携わる。一見フィッシングウエアには見えないパーカーやTシャツなど、より街使いしやすいデザイン性の高さが魅力

——あらためて見渡すと、フィッシングブランドだということを忘れそうです。これらの全てに何かしらの機能性が備わっているということでしょうか。

佐藤さん 近年の猛暑対策にはメッシュTシャツやUVカット素材のジャケットがオススメですし、デング熱を引き起こす可能性のある蚊から身体を守る防蚊服もあります。フィッシングをはじめ、スポーツやフェス、登山やキャンプ、そしてタウンユースと、ありとあらゆるシーンに相応しいアイテムが揃っていますので、その快適性をぜひ実感していただければと思っています。

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ダイワから生み出された最新のアパレルは、外遊びや普段のお出かけがより楽しく過ごせる機能性とデザインに仕上がっていました。“山”出身の「ザ・ノース・フェイス」が街を席巻している中、“海”出身の「ダイワ」がこれからどのように世間に広がっていくか注目です。

>> ダイワ

 


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(取材・文/K・タニヤマ)

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