車中泊やアウトドアに活用するユーザーの増加もあって、4輪の世界では「ハイエース」や「プロボックス」などの商用車に対する注目度が高まっています。質実剛健な作りで収納スペースが広く、使い勝手が良いのが人気の理由ですが、タフで荷物がたくさん積めるという意味では、いわゆる商用バイクも見逃せない存在。そもそも、近年人気の「ハンターカブ」のルーツである「スーパーカブ」も商用として開発されたものでした。
現行のラインナップや、まだ中古で入手可能なモデルを中心に、奥深い商用バイクの世界を覗いてみましょう。
■商用バイクとして開発された「スーパーカブ」
近年ではオシャレな街乗りバイクとして独自の世界を作っているホンダの「スーパーカブ」ですが、1958年に登場した初期型モデルは、商用として開発されたものでした。
クラッチ操作のいらない自動遠心クラッチも、出前の際にオカモチを左手で持ったまま運転できるようにとの配慮だったのは有名な逸話。その後も新聞などの配達に活躍し、筆者が免許を取った1980年代頃までは「スーパーカブ」といえば商用バイクというイメージでした。
「スーパーカブ」がオシャレな人が乗っているようなイメージになったのは、1990年代に入った辺りからでしょうか。今でも配達業務などに活用されてはいますが、商用バイク的なイメージを残しているのは、現行モデルでは「スーパーカブ 50/110 プロ」くらいになっています。
ちなみに、現行型の「スーパーカブ110」シリーズはABS装備の規制などもあって販売が終了。開催中の東京モーターサイクルショーに、前後キャストホイールとフロントのABS付きディスクブレーキを装備した新型が出展されています。キャストホイールになると、ますます商用バイクのイメージは薄くなりますね。