■3輪の「ジャイロ」シリーズにも電動モデルがある
ホンダの商用バイクとして忘れてはいけない存在が、スリーター(3輪)の「ジャイロ X」。登場したのは1982年で、当時は5PSを発揮する2ストロークエンジンを搭載し、ワイルドパターンの低圧ワイドタイヤやノンスリップデフ機構も装備するなどオフロード走行も視野に入れたモデルでした。
ワンタッチパーキングやスイング機構など76ものホンダの独自技術が組み込まれた意欲的なモデルだったのです。
当時とあまり変わらないデザインで現行モデルが選べるのも、このマシンの魅力。独自のスイング機構などもそのままです。
加えて、電動モデルの「ジャイロe:」もラインナップ。残念ながら法人向け販売に限られていますが、こちらも「ベンリィe:Ⅰ/Ⅱ」と同様に「Honda Mobile Power Pack」を動力源としていて、バッテリー残量が減ってきたら入れ替えられます。
ホンダは現在、「Honda Mobile Power Pack」のステーション整備に力を入れていますが、街中で利用できるようになれば、一気に電動バイクの普及が進みそうです。
■屋根付きで雨もしのげる「ジャイロキャノピー」シリーズ
前述の「ジャイロ X」にルーフ一体式の大型風防を装備したのが「ジャイロキャノピー」です。雨の中を走っているときに見かけて、うらやましく思ったことがあるライダーも多いのではないでしょうか。こちらも2002年にフルモデルチェンジし、現行モデルとしてラインナップされています。
発売当時は、キー付きトランクを装備した〈ワゴンタイプ〉と、フラットな荷台形状の〈デッキタイプ〉の2タイプが選べましたが、現行モデルはデッキタイプのみとなっています。個人的には、これに原付二種モデルがあれば街中の移動手段としては最強なのにと思わずにはいられません。
そして2021年には電動モデルの「ジャイロキャノピーe:」も追加されました。こちらも法人向け販売に限られますが、ふたつの「Honda Mobile Power Pack」をシート下に格納して動力源としています。電動バイクはこういったモデルから普及していくのかもしれません。
■国内第5のメーカーとなったaideaの「AAカーゴ」
最後に紹介しておきたいのがaidea(アイディア)の「AAカーゴ」というモデル。聞き慣れないメーカー名かもしれませんが、2019年に登場したZEV(ゼロエミッションビークル)を得意とする日本の新しいモビリティブランドです。
「AAカーゴ」はその第1号モデルで、屋根付きの電動3輪バイク。原付二種モデルで、4輪自動車のダブルウィッシュボーンを発展させた、左右独立懸架リアサスペンションを採用し、悪路や段差でもスムーズな走行が可能です。国土交通省による型式認定も取得し、国内第5のバイクメーカーとして期待が高まります。
<文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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