ランボルギーニ編でお話ししたとおり、ここでは跳ね上げ式のドアを広い意味で“ガルウィング”と言っていますが、正確にはシザードア(シザースドア)だったりバタフライドアだったりと名称が異なります。
「じゃあホントのガルウィングって何よ?」って話なのですが、その名のとおり、カモメが翼を広げた時のように、水平にドアが開くドアのことを指します。
ということで、次は世界で初めてガルウィングドアを採用した市販車、メルセデス・ベンツの300SLをご紹介します。
【メルセデス・ベンツ】
■ガルウィングの元祖「300SL」
▲1954年に登場した300SL。70年近く前のクルマとは思えないほどの美しさです。ちなみに日本では蔵前国技館で初めてプロレス大会が開催され、街頭テレビに人だかりができた年だそうです
▲俳優の石原裕次郎やプロレスラーの力道山が所有していたことでも有名ですね
▲ステアリングは細く、スポークは2本。サイドシルが高く分厚いのも特徴です
■たった25台のみ販売された「CLK-GTR」
▲ド派手に張り出したブリスターフェンダーが圧倒的存在感を生み出すCLK-GTR。1997年のGT選手権参戦のために開発され、ホモロゲーション取得のために25台のみ販売されました。価格はなんと約2億5000万円!(当時)
■ハンドメイドで製造された「SLRマクラーレン」
▲「マクラーレン・メルセデス」の言葉が懐かしいF1界でおなじみの両者が、2004年に開発したスペシャルカー。120km/h以上からブレーキを踏むとリアウィングが作動しダウンフォースを高めるといったギミックも搭載されていました
■F1のセーフティカーにも採用された「SLS AMG」
▲300SLをモチーフに開発されたこともあり、ザ・ガルウィングのスタイルで2010年に登場(国内)。SLRマクラーレンの後継とも言われていますが、価格も骨格も大きく異なります
▲エンジンはV8の6.2Lで、最高出力は571ps、最大トルクは66.3kgf・m。ミッションはゲトラグ製の7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)を搭載
【マクラーレン】
■ゴードン・マレーの力作「マクラーレン F1」
▲F1で得た知見やノウハウをフィードバックした市販車を開発するために創立されたマクラーレン・カーズが、1992年に製造したスーパーカー。F1同様ドライビングシートは中央にあり、少し後方の左右に1席ずつシートが配置されています。乗車定員は3名
▲ミッドシップに搭載されたV12 6Lエンジンは最高出力627ps、最大トルク66.3kgf・mを発揮。アルミを多用したエンジンやカーボンモノコックの採用などにより、車両重量はたったの1138kg
■貴公子の名を冠した「マクラーレン セナ」
▲2017年に500台限定で販売されたアルティメットカー。車名にアイルトン・セナの名が付けられているとおり、サーキット走行での性能を重視して開発。最高出力800ps、最大トルク81.6kgf・mと、マクラーレン史上最高の動力性能を誇ります
【BMW】
■PHEVのガルウィング「BMW i8」
▲PHEVシステムを採用したBMWの大人のスポーツカー。3気筒の1.5Lツインターボエンジン(231ps)に専用モーター(131ps)を組み合わせ、システム全体の最高出力は362ps。EVモードの航続距離は最大35kmなので、近所への買い物程度ならEVだけでいけそうです
【フォード】
■GT40の流れを汲む「フォード GT」
▲フォードが日本市場から撤退したことであまり知られていないのですが、2017年に登場したフォードGT(2代目)もガルウィングを採用。GT40を思わせる地を這うようなフォルムも健在です
【ケーニグセグ】
■トータル1700psの4人乗り「ケーニグセグ ジェメラ」
▲早口言葉のようなケーニグセグはスウェーデンに本拠を置くメーカーで、ジェメラは4シーターのスーパーカー。ドアが垂直に開くのが特徴です
▲とにかくパワーユニットが強烈で、エンジンは3気筒の2Lをターボで武装し600ps。それに3基のモーター(計1100os)を組み合わせたシステム総出力は驚異の1700psを誇ります
▲シートレイアウトはフロント2座、リア2座の4人乗り。リアまでバケットシートのようなサイドサポートの張り出し具合が、このクルマの性格を物語っています
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