現状、上位から順に「iPhone 13 Pro Max」「iPhone 13 Pro」「iPhone 13」「iPhone 13 mini」「iPhone SE」という全5機種が展開されています。それぞれ販路や容量でも値段が変わってくるので、ここではオンラインのApple Storeで、容量ごとの価格を並べてみました。
ご覧の通り、ただでさえ端末価格が上がっていたところに円安の影響もあって、全体的に価格が上がっているのが分かります。一括価格で10万円を下回る選択肢は、iPhone 13 miniの128GBモデルか、iPhone SEの256/128/64GBモデルしかありません。
しかも、iPhone 13 miniは9万9800円であり、10万円未満といってもギリギリのライン。また、iPhone SEの64GBモデルを選択するのは、ストレージ不足を招きやすいので、特別な理由がない限り避けた方がよいでしょう。
つまり、もし一括価格6〜7万円程度で新品のiPhoneを入手したいと思った場合、実質的におすすめできるのが、iPhone SEの128GBモデル一択という状況なのです。
もちろん、大手キャリアが提供する端末購入補助プログラムを利用すれば、そのほかのモデルでも、割安に利用することはできます。ただし、その場合には一定期間利用後の返却が前提になるので、仕組みを正しく理解しておかなくてはいけません。
■iPhone SEの特徴をおさらい
本体価格の安さ以外にも、iPhone SE(第3世代)の128GBモデルをおすすめしやすい理由は、大きく3つあります。
1つ目は、長期的に使える安心感です。これはまず、搭載するチップセットが「A15 Bionic」であり、ほかのiPhone 13シリーズと変わらないことが理由です。性能が良いのはもちろんなのですが、OSのアップデートが長くサポートされることが重要となります。
また、通信仕様として「5G」にもしっかり対応しているため、将来的に5Gの通信プランしかを選ぶことができなくなったとしても、使い続けられるであろうことも確実。
こういった理由のもと、長期で利用することを前提にするならば、安価な中古iPhoneを購入するよりも、iPhone SE(第3世代)の128GBモデルを購入しておいた方がコストパフォーマンスが良くなる可能性があるのです。
2つ目は、A15 Bionicを搭載したことで、機械学習処理を利用した多くのカメラ機能に対応していることです。
もちろん、iPhone SEの背面カメラはシングルカメラのため、超広角カメラや望遠カメラを備えておらず、画角の自由度こそ限られています。しかし、ノイズを低減し、質感を向上させる「Deep Fusion」や、シーンによらず被写体のスキントーンや背景の色・コントラストなどを最適に整えてくれる「スマートHDR 4」などの機能をしっかりサポートしています。
撮影の“質”は十分良いのです。望遠や超広角での撮影にこだわりがなければ、日常使いで困ることはあまりないでしょう。
以下は、iPhone SE(第3世代)と共に日中にフォトウォークで撮影した作例です。ディティールも綺麗に撮れています。
3つ目は、Touch IDによる指紋認証が使えるということです。
もちろん、iOS 15.4以上では、マスク着用時に「Face ID」による顔認証が使えるようになっているので、そこまで指紋センサーにこだわる必要もなくなってはきています。しかし、もしこれまでに「iPhone 6s」や「iPhone 7」「iPhone 8」などの機種を長く愛用してきた人の中には、今後もTouch IDを使いたいと思う人もいるかもしれません。
現行のiPhoneラインナップにおいて、Touch IDを備えているモデルは、このiPhone SEだけなので、選ぶうえで背中を押してくれる要素にはなり得るでしょう。
■ただし万人におすすめするわけではない
一方で、iPhone SEを選ぶうえでのデメリットがないわけではありません。例えば、同機は画面サイズが4.7インチしかないし、上述したように生体認証としてTouch IDしかありません。また望遠カメラや超広角カメラもありません。
買い替えたとしても、既に見慣れたデザインは代わり映えせず、ワクワク感は得られないでしょう。また、もし「iPhone X」以降のFace ID搭載モデルに慣れてしまった人にとっては、iPhone SEの画面が小さく感じるかもしれないし、Face IDからTouch IDに戻ることや、望遠・超広角撮影ができないことに、グレードダウンするような感覚もあるかもしれません。
もし、そんな懸念を強く感じる場合には、iPhone SEにこだわる必要はありません。iPhone 13に次ぐ、次モデルのシリーズをチェックし、大手キャリアの端末購入補助プログラムを活用するなど、少しでも安価に入手できる方法を模索してみると良いでしょう。
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ここ4〜5年で、ハイエンドスマートフォンの価格が10万円を超えることは、珍しくなくなりましたが、いざ買おうとなるとやはり敷居が高く感じるものです。Androidと比べるとiPhoneは端末の選択肢が少ないため、iPhoneユーザーにとっては特に切実な問題だといえます。
円安も重なった今年の秋は、iPhone SEを狙うべきか、新モデルを割賦で買うか、そんな2択に迫られる人が一層増えそうな気がします。
<文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter
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