■おしなべて注意したい土地の谷地(ヤチ/ヤジ)
また、「谷地」ではないかも注意しましょう。これは簡単に言い換えれば「湿地」です。
普段まちなかで生活していると感じることはほぼありませんが、地下には水脈があります。住宅街になっているようなエリアでは、この水脈は地下深くにあって、そもそも設置された各種排水設備の力もあり、水が急に湧き出て大変! なんてことはほぼありませんよね。
しかしこの「谷地」は、その水脈が地面から浅いところにある土地で、1mも掘ればすぐに水脈にあたってしまうようなことがあります。排水も悪く、地面が保水した状態が続きやすい場所と言えます。
また、敷地内に高低差がある場合、周辺の土地に比べて低い土地には周りの水が集約しやすく、これも谷地になりやすいので注意が必要です。
谷地の場合は、よっぽど大規模な土木工事をしないと話になりません。
最初から湿地になっているところはそもそも候補に挙がらないとは思いますが、厄介なのが「晴れていると湿地感のない谷地」の存在です。
普段は少し湿度はあるけど、水気は感じないような土地なのに、雨が降ると一気に谷地の性質を全面に発揮してくる土地もあるのです。
なので、晴れの日だけでなく雨の日もしっかりと観察することをおすすめしますし、不動産屋や地元の方とコミュニケーションを取れるなら、どんな土地なのかを聞いて回ると良いでしょう。
■どの都市圏が商圏になりそうかが重要
言わずもがな、商圏となる都市圏がどこで、どれくらいの時間で来られるか、来やすいルートになっているかなどはどうやっても検討すべきポイント。考え方次第ではありますが…。
どれだけいいキャンプ場があったとしても、行くのに4時間も5時間もかかってしまうような場所、整備されていないようなひどい山道を通るような場所だと、それらを覆せるくらいのよほどの魅力がなければ行きにくいですよね。
そもそも近くにどれだけの規模の都市圏があって、どれだけキャンプ需要があるかを事前に情報収集しておかないと、年間の収支計画も見えてこないので、お金を借りるにしても借りるための資料も作れません。
一般社団法人日本オートキャンプ協会が毎年発行している「オートキャンプ白書」をはじめ、キャンプ業界の動向を追える資料は少しずつ増えています。
それらを参考にしつつ、理想の場所選びを進めるのがキャンプ場オープンへの近道です。
* * *
というわけで、キャンプ場の場所選びをする際に必ず見ておきたい土地の要素のお話でした。
これまでたくさんの土地を見て回ってきましたが、完全に理想の場所を探すのは難しい。商圏から理想的な距離感だけど、インフラを整えるのにお金がかかりすぎる。ランドスケープは最高なのに立地が悪いなど、あっちを立てればこっちが立たずなことばかりです。
土地をいろいろ見ていると他にも検討すべき要素が見えてくるのですが、それらに予算も含めて多角的に検討した上で、“いい塩梅”がどこかを探り続けるのが、キャンプ場の土地探し。
僕たちの「-be-」も谷地の要素があったり、真冬は寒すぎるので閉場せざるをえなかったり、運営にマイナスになる部分はもちろんあります。
ですが、それ以上にたくさんの鳥達が訪れる樹種の多い豊かなフィールドがあって、静けさの中で眺める満点の星空が最高なんです。ゼロからインフラ整備をする必要がないのが決め手のひとつでもありますが。
いよいよ「誰が読むの?」を極めそうな謎記事になりましたが、次からはキャンプ場整備をしている中で直面したorしているしんどいリアルな話でも少しお話できたらと。
それでは、今回も最後までご覧いただきありがとうございました!!
「-be-北軽井沢キャンプフィールド」
〒377-1411 群馬県吾妻郡長野原町応桑1984-160
<文/山口健壱>
山口健壱(ヤマケン)|1989年生まれ茨城県出身。脱サラし、日本全国をキャンプでめぐる旅ののち、千葉県のキャンプ場でスタッフを経験。メーカーの商品イラストや番組MCなどもつとめる。著書に「キャンプのあやしいルール真相解明〜根拠のない思い込みにサヨウナラ」(三才ブックス)
【関連記事】
◆ALLGOODのポータブル窯「CHIMNY」があればキャンプで焼き立てピザが食べられる!
◆ニッポンの冬はハイランダー「炙二郎」で熱燗片手にしっとり冬キャン!
◆自分の手で叩いて作る"スプーンルアー"なんて愛着湧きまくり!