■そもそも冬の間ってキャンプするの? キャンプ場は開いているの?
と、その前に。
すでにキャンプにどっぷりの皆様には言わずもがなかもしれませんが、キャンプをやったことのない方からのよくある質問は「冬の時期もキャンプするんですか?」というもの。
昨今のキャンプブームでだいぶ「冬キャンプ」も市民権を得てきているように感じます(一昔前は冬キャンプはだいぶ玄人感の強い、キャンプフリークだけの遊びのような認識が強かった)が、そうですよね、一般的に考えて、冬に幕一枚で外で寝泊まりなんて「マジで言ってますか?」って感じですよね。
冬キャンプは十分な装備や知識、技術があれば十分以上に楽しめる遊びです。なので、質問への答えとしては「冬の時期もキャンプをします」。
ただ、「世の中の全てのキャンプ場が冬季(12月から3月)まで営業をしているか」というとそうではありません。
氷点下10℃を下回るエリアでは春まで休業されるところが多い印象です。一方で比較的冬でも暖かいエリア(関東であれば千葉や神奈川エリアなど)は稼働しているキャンプ場がほとんどではないでしょうか。
冬の間はキャンパーが少ないということもありますが、それ以上に水道凍結のリスクやフィールドの状態が原因で営業できるキャンプ場が限られてくるのです。
もちろん、寒さが厳しいエリアでも十分な設備(水道の凍結防止設備を充実しているなど)を確保しているキャンプ場もありますし、暖かいエリアでも凍結やそれ以外の事情(春以降の準備期間として休業など)でクローズしているキャンプ場もあります。
ということで、まず事前情報として「冬でもキャンプで遊べる」けど「冬の間やっていないキャンプ場もある」というお話でした。
■冬もオープンしているキャンプ場はなにしているの?
では、冬の間のキャンプ場のお仕事について。まずは冬期も営業している場合から。
予約業務や清掃、受付対応などの通常業務は、冬以外のシーズン同様。ただ、春から秋にかけてのオンシーズンに比べると、落ち着きます。
「通常業務が落ち着いた分、ゆっくりしてるの?」と思われるかもしれませんが、たしかにそういう時間を作りやすい。
オンシーズン中にまとまったお休みを取りにくいのがキャンプ場の常ですが、キャンプ場によってはオフシーズンの冬の間にスタッフに長めのお休みを取ってもらうところもあります。
ですが、キャンプ場の冬は実はオンシーズン並みに忙しい時期だったりもします。キャンプ場にとって、冬の間は「整備期間」として重要です。
キャンパーが少ない時期ですので、オンシーズン中にはできない場内の土木作業や修繕作業を中心に、集中して作業を行っていきます(もちろんキャンパーに十分配慮した上で、です)。
例えば、場内通路やサイト内の整備。シーズンを通して多くのキャンパーが来る=クルマの通路やサイトが荒れてくるので、それを冬の間にキレイにしていくのです。
クルマがたくさん通ったり、サイトの上でキャンプをすれば、その分地面が踏み固められていきます。砂利が入った通路やサイトでは、撒いた砂利たちがどんどん地面に埋め込まれていき、地面が露出します。
そうなると、テントや道具が汚れやすくなったり、過ごしにくくなります。なので、冬の間に整地をしたり砂利を撒き直したりしていくわけです。ちなみにこの砂利撒き作業、シンプルに肉体労働で重労働ではあります。
重機やトラックで砂利を運ぶにしても、人の手で砂利を広げて、均します。砂利も粒度が完全に整っていないので、大きすぎるものはひとつひとつ手で弾きます。実際にクルマで走ってみたり、サイトの中を歩き回ったりして、違和感や不快感がないかもチェックします。
木々のメンテナンスもこの時期にやることが多いです。葉が枯れて、見通しがよくなるので、枯れ枝や枯れ木を発見しやすくなります。手の届く範囲であれば、12尺などの三脚を、それでも届かない場合は12mや17mの高所作業車をレンタルして、一気に剪定していきます。落枝を原因としたトラブルや事故を未然に防ぎ、安心してキャンプを楽しんでもらうために行う作業です。
他には、ログキャビンやコテージなどがあれば、その補修作業もあります。建物も長年使用していれば、いろいろとガタがくることもあります。ウッドデッキで床板がたわめば、その補修。外壁が傷まないように全面ペンキ塗り。その他設備も具合を確認して購入を検討。
ちなみに、キャンプ場を運営するにあたって、できることは可能な限り自分たちで行うことが前提にあります(その「できること」の範囲がやたらと広いのがキャンプ場)。
なので、それらを比較的時間を取りやすい冬の間に全て行っていくので、実は仕事量は膨大です。