【2012-2022年】多様化と洗練
2012年にLet's noteシリーズは15周年を迎えます。性能面の成熟を果たしたノートPCは、ビジネスパーソンの相棒として重要な存在になっていきました。また、2009年頃から「ノマドワーカー」という言葉が登場したように、「働き方の多様化」というトレンドも、この辺りから次第に強まっていきます。
Let's noteシリーズとしても、軽量・長時間駆動・頑丈・高性能という従来の特徴に比べて、「タブレットとしても使える」といった柔軟性や、「外観の格好良さ」などのデザイン性もユーザーから重視されるようになっていきました。ちなみに、タブレットのようにタッチ操作での運用にも対応するWindows 8が登場したのも同年のこと。
「例えば、MR(医療情報担当者)の方なら、病院などで医師に対して営業をするのに、ノートPCの画面に表示した資料を見せますよね。そこで、ノートPCとタブレットPCの2台持ちを選択すると、情報システム担当者からすれば管理が大変になってしまいます。一方、2in1型のノートPCならば、MRの方が携行する機材も1台で済みますし、情シスとしても管理が簡単です。細かいところですが、こうした需要を想定して、2in1型の機種では、タブレット状態で使用するときに、キートップが外れないよう、アイソレーションキーボードが採用されています」(田中氏)
例えば、2012年発売の「CF-AX2」は、Windows 8を採用したコンバーチブルタイプの2in1ノートPCでした。翌2013年にはフルHDのIPS液晶を採用した「CF-AX3」も発売されました。
また、この頃から画面サイズの大型化もトレンドに。Let's noteとしても、最近では21年6月に加わった「CF-FV」シリーズが、14型かつアスペクト比3:2のディスプレイを備えています。
「『CF-FV』は、従来の13型の筐体サイズに14型のディスプレイを搭載させようと開発したシリーズです。ちなみに、3:2というアスペクト比のメリットは、作業領域が縦に広がるという以外にも、実はオフィスの引き出しには入りやすいというメリットもあるんです」(田中氏)
そして、デザインとしての格好良さや、カバンへの入れやすさなどについても、改良が重ねられてきました。その集大成と言えるのが、2022年に発売された「CF-SR」シリーズです。
「Let's noteシリーズは、2016年に20周年、21年に25周年を迎えました。市場に関しては、ここ数年は特に、在宅ワークが普及し、オフィスがコミュニケーションを生む場として捉えられるようになってきました。いわゆる“多様性”の時代です。そんな時代や、現代のユーザーのスタイルに合った機種を作りたい、と開発したのが『SR』シリーズです。とにかく、支給されたときに嬉しいと思ってもらえるデザインにしたいと思いました」(上原氏)
もちろん、SRシリーズでは、単にデザインを刷新したのではありません。Let's noteならではの魅力が損なわれないようにも工夫が凝らしてあるといいます。
「例えば、天面のボンネット構造は、筐体の内側にも工夫を加えました。これによって耐久性を維持しつつも、外観をスッキリした印象に整えています。ホイールパッドも従来より広く配置しました。一方で、ディスプレイの狭額縁を上端まで細くしていないのは、ここにモバイル通信のためのアンテナを配置するのが、通信品質を保つためです。I/Oも従来通り豊富に備えています。長く愛されてきた使い勝手や、これまで培ってきた “Let's noteらしさ” を失わないようにしつつ、その上で“どんなシーンでも働く姿が美しくなるように”という思いを込めています」(上原氏)
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ひょっとすると、Let's noteといえば「法人向けの頼れるノートPC」といった印象を抱いている方も多いかもしれません。しかし、同シリーズは、個人向けにも展開されてきたシリーズです。
上述したように、20年以上の歴史を重ねるなかで、徐々にその姿が変化してきたことも分かりますし、昨今は特に、デザイン面での洗練化が目立ちます。法人・個人を問わず、いま改めて注目してみると面白いノートPCだと言えるでしょう。
<取材・文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter
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