同ブランドのソフトクーラーボックスが登場する以前について、赤津さんはこう話します。
「それまでのクーラーボックスといえば、ハードタイプのみ。カヤックやカヌーで旅をする際にも、ハードボックスをそのまま載せて使っていました。取り回しが悪く、船体の保護にも気を遣いながら使用する必要もありました」
「川下りですのでどうしても濡れますし、保冷力や柔軟な使い心地だけでなく、中身をドライに保てる機能が欲しい。そういったウォーターアクティビティでの使い勝手の良いクーラーボックスが愛好家たちに求められていました」
そういった声を受けて、ダウンリバー用品ブランドと共同で企画・開発されたのがシアトルスポーツのソフトクーラーボックスなんです。
【愛用される理由1】ソフトタイプ+防水仕様で“普段使いからキャンプまで”をカバー
今でこそ定着したソフトタイプのクーラーボックスですが、そのオリジナルであるシアトルスポーツの起源は、実は防水バッグにあるのだそう。
「シアトルスポーツは元々ダウンリバー用の防水バッグを製造しており、防水技術は彼らの十八番。そもそも完全防水のドライバッグを初めて作ったのも彼らです。そんな防水バッグ製造で培った溶着技術と素材選びの見識に、インシュレーションを組み合わせることで完成したアイテムなんです」
現行品である「フロストパック」も、その最大の特徴は防水機能。本体に水を通さないビニール生地を使用しているだけでなく、高周波によるシーム溶着技術を採用しているため、外からの水をしっかり遮断します。キャンプ中の雨や夜露による濡れを気にせず使える地味に嬉しい機能です。
また、外からだけでなく、クーラーボックス内の水分も外に漏らしません。保冷剤の結露や食材の水分でうっかり濡れがちなクーラーボックス内ですが、中の水が漏れて他の荷物を濡らしたり、汚す心配がなく安心です。
もちろんソフトタイプなので、本体重量が軽く持ち運びも楽ちん。折りたためるので、自宅で保管する際にも場所を取らず、何より日頃の買い出しにとても便利。ハードタイプと違って仰々しくないですし、特に現行モデルはカラーも落ち着いているので、気軽に近所のスーパーに持っていけます。
【愛用される理由2】クッション機能付き防水ギアストレージとしても活躍
「ソフトタイプだからこそ、クーラーボックス以外の使い方ができるのもシアトルスポーツの魅力なんですよ」と赤津さん。
実はストレージボックスとしても優秀で、インシュレーションがクッションの代わりになるため、クーラーボックスとしてだけではなくキャンプギアの収納にも使えます。
また、防水機能があるので、カメラや着替えなどドライに保ちたいアイテムを持ち運ぶ際にも活躍します。
「フロストパック」は、縦長タイプの12QT(6600円)、23QT(7480円)の2サイズに、横長タイプの25QT(8580円)、40QT(1万560円)の2サイズと、計4サイズ展開。どれも使いやすいサイズ感ですが、このサイズ展開にもどうやら歴史があるようです。
赤津さんによると、発売当初のモデルは「現行品でいうと、40Qが一番近いサイズ感」だったそう。
「数日分の食料や飲料を持って川を旅していたので大型のものが求められていました。その後、登山やキャンプ系のブランドの要望もあり、小型のサイズ展開が始まりました」
往年のアウトドアマンに人気の、1900年代前半から今も続くアウトドアブランドがサイズ展開に関わっていたこともあるのだとか。
「非常にユニークで、冒険家たちだけでなく、名だたるアウトドアブランドが注目していましたね」と赤津さんは当時を振り返ります。
「フロストパック」は単体でも十分便利に使えますが、組み合わせて使うのがおすすめ。ソロキャンプであれば、ドリンク用の12QTに食材用の23QTか25QTを組み合わせる。ファミリーやグループであれば、メインに40QTを使い、サブクーラーとして23QTを準備すると大人数にも対応しやすくなります。
ちなみに、23QTは日本のキャンプユーザーの声から生まれたモデルなんだとか。「2Lペットボトルを縦に入れられるサイズがほしい」というキャンパーの声をもとに、シアトルスポーツに専用モデルとして依頼をかけたといいます。
2Lペットボトルを3本+350ml缶を8本も保冷できる十分な庫内スペースが確保されているので、ファミリーの一泊二日のキャンプにちょうど良いサイズ感で人気のモデルです。
なお、夏場などしっかり飲み物を保冷したい場合は、内容物を少し減らして保冷剤をいれるスペースを作る必要があるのでご注意を。