プロも使う完成度!ユニフレーム「コーヒーバネット」が30年以上売れ続けている理由

2023年現在、シェラカップにセットできる「sierra」(1870円)、3つ脚で安定感のある「cute」(2200円)、ファミリーやグループで活躍する大人数用の「grande」(2420円)と3つのバリエーションがラインナップしています。

「実はユニフレームの中でもブランド初期からある古株な商品で、弊社の中でもロングセラーな商品なんです」と話すのは、ユニフレームの野﨑さん。営業をはじめ広報や商品開発と、幅広い業務を請け負っています。

カセットガス缶を燃料にしたガストーチ「トーチバーナー」と、ポータブルヒーターの「ワーム」の2商品とともに、1985年にブランドをスタートしたユニフレーム。1989年に業界初のカセットガス式2バーナー「US-2000」、1991年にはカセットガスランタン「UL-1100」(現行モデルUL-Xの初代)を発売。その翌年の1992年に「コーヒーバネット」が生まれました。ブランド初期にコーヒードリッパーなんて…。ニッチでシブ過ぎるぞユニフレーム!

▲1~2人用の「cute」(左)に比べてふた回りほど大きい「grande」(右)。ワイヤーは、より太いものに変更されている

今でこそ「ファイアグリル」や「ユニセラ」といった、焚き火や調理器具周辺のキャンプギアに定評のあるユニフレームですが、その初期にコーヒードリッパーがなぜ生まれたのか。そのきっかけは地道なプロモーション活動の中にあったと言います。

「アウトドアイベントに毎年出展する中で、客寄せのためにコーヒーを振る舞っていたんです。当時は商品ラインナップも少なく、ユニフレームを知っているお客様もそれほどいなかったので、なんとかブースを見てもらおうと(笑)。この時に生まれたアイディアを実現したのがコーヒーバネットなんです」

▲「sierra」はシェラカップに載せてもしっかりと固定できる仕組み。内径11~13cmのカップに最適化されている

「コーヒーバネット」発売以前は、アウトドア用のコーヒードリッパーがない時代。大手コーヒー器具メーカーのドリッパーを使用していたが、どうしても嵩張るし、アウトドアっぽい見た目じゃない。「それだったら作ればいい!」と、コーヒー好きの社員を中心に商品開発が始まったといいます。

「円すい型を選んだのは、誰でも手軽に淹れやすいということと、ワイヤーを使った収納ギミックを取り入れられる形状だったということにあります。開発当時の日本では円すいタイプのコーヒードリッパーはそれほど一般的ではありませんでしたが、今思えばそれが功を奏したのかもしれません」

アウトドアブランドが生み出した、このコンパクトながらも本格的なドリップ性能を備えたコーヒードリッパーは、意外なところでその人気に火がついたのです。

 

【理由①】コーヒーのプロたちも認めるドリップ性能の高さ

「発売当初、一番引き合いをいただいたのがコーヒー専門店でした。はじめはお店で使うドリッパーとして問い合わせがあり、実際にお客様に提供するコーヒーを淹れるのに使っていただいていました。その後、次第に店舗販売用でのお取引が増えていきましたね」

もともと円すい形状のドリッパーは、湯が落ちていくスピードが速いので、すっきりとしたコーヒーを淹れやすいという特徴があります。それに加えて「コーヒーバネット」には、ドリッパーの隙間からコーヒー豆から出るガスを外に出し空気を通す構造で、雑味の原因を排除しやすいという特徴も。そのため、誰でも香り高く、すっきりとした味わいのコーヒーを淹れやすいんです。

「もちろんドリッパーとしての使い勝手も考えつつ開発した商品ではありますが、プロの方に使ってもらえるほどの商品になるとは思ってもみませんでした」

キャンプでのコーヒータイムのために開発された「コーヒーバネット」が、キャンパーよりも先にコーヒーのプロたちの支持を集めたというのも興味深い話。プロが使うほどの仕上がりなら、発売以来30年以上愛用され続けているのも納得です。

また、コーヒー専門店で人気が出たことについて野﨑さんは「なかなか一般の流通に乗せるのが難しい中でしたから、非常に嬉しい誤算でした。一時期はアウトドショップよりも売れていたかもしれません」と振り返ります。

「コーヒーバネット」を発売した当時のユニフレームは、無名に近いブランドだった上に、まだアウトドア専門店が多くはなかった時代。上述のとおり、「コーヒーバネット」発売時は、「ファイアグリル」や「焚き火テーブル」といった同ブランドの代名詞とも言える人気アイテムも未発売。アウトドアブランドとしては手探りの中での商品開発だったため、ブランド認知もまだまだこれから、といった状況でした。

今でこそ、ユニフレームと言えば“質実剛健なキャンプギア” “キャンプでコーヒーと言えば「コーヒーバネット」!”というほどの人気のブランドですが、当初はいろいろ苦労もあったのだと思うと、感慨深い。

 

【次ページ】コンパクトに収納できるのは大きな利点

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