コンパクトで軽量ながらも、リチャージ可能かつ大容量。普段はモバイルバッテリー、有事の際は明かりとして使用可能なLEDランタンとして、クラウドファンディングで一躍注目の的に。
しかしこの時点では、キャンプギアというよりも、あくまで防災グッズとしての注目度が高かったといいます。それでもクラファンでの達成率は1594%と驚異的な数字ではありますが。
そんな中、「ルーメナー7」を購入した一部のアウトドアユーザーから「落下させてしまってハンドルが壊れてしまった」「屋外でも気にせず使えるように防水や衝撃に強い仕様にしてほしい」などの声が寄せられるように。
「そういった日本のアウトドア愛好家たちの声をもとに、新規に設計・開発をしたのが『ルーメナー2』なんです」と宋さんは言います。
「ルーメナー2」は、「ルーメナー7」とは異なり災害対策だけでなくアウトドアシーンでの使用を想定したモデルで、耐候性や耐衝撃性能に加え、容量も強化。加えて、デザインやハンドル部などディテールにもアップデートが施されました。その結果、デザイン性の高さもあり、クラウドファンディングに出るやいなや達成率7000%超の爆発的ヒット。
「『ルーメナー7』への日本のキャンパーの声があったからこそ『ルーメナー2』が生まれました。元より想定していた防災グッズとしても合理的な仕様へブラッシュアップできましたので、日本のキャンパーさんには頭が上がりません」と宋さんは話します。
■謎に包まれたブランド「ルーメナー」の正体とは?
そんな「ルーメナー2」ですが、巷では『韓国のブランド「NNINE」「N9」の商品』だったり、『韓国のルーメナー社の商品が輸入されて日本で販売されている』だったりと、その正体についてはさまざまな情報が飛び交っており、正直「良い製品なんだけど、どこのどんな商品なの?」と若干の怪しさを感じずにはいられません。
韓国発のブランドだと思われがちですが、「ルーメナーは単なる韓国ブランドの輸入商品ではなく、日本で企画・立案された商品なんです」と宋さんは教えてくれました。
ルーメナーシリーズ、実は日本の企業であるKMコーポーレーションの宋さんが企画立案したものなんです。それを協力会社であるルーメナー社(旧オナンコリア社)が設計、開発を行い、協力工場にて生産をしています。
その経緯もあり、韓国を中心にアジア各国やオーストラリア、アメリカではルーメナー社が販売し、日本ではKMコーポレーションが輸入代理店としてルーメナーシリーズの販売を行っているというわけです。
つまり、「ルーメナー2」は一介の『韓国ブランド』ではなく、『日本企画のキャンプギア』でもあるんです。
ちなみに、ルーメナーについて調べているとたまに見かける「NNINE」あるいは「N9」とは、韓国国内での販売ブランド名。日本で販売されている「ルーメナー7」は、韓国では「オナンコリア社」の「NEW-N9」として販売されていました。
しかし、オナンコリア社は日本でのルーメナー人気を受けて、2020年に社名を「ルーメナー」に変更。それに併せて、商品名も日本と同じ「ルーメナー」に統一したという経緯があるそうです。
少々ややこしいですが、2023年現在では、日本国内で販売されているルーメナーは「韓国ルーメナー社」の「ルーメナー」であり、それを企画し、さらに日本国内で輸入・販売しているのがKMコーポレーションということになります。また、日本国内におけるLUMENAの商標はKMコーポレーションが管理しています。
■LEDランタンの常識を変えるほどの当時最強のスペック
「ルーメナー2」最大の特徴は、携帯性能の高さに加えて、高輝度かつ大容量というスペックの高さになります。
最大光量1500lmかつ調光・調色機能付き。電池式ではなく充電式で、最長約100時間点灯可能な大容量10,000mAhバッテリーなど、当時のLEDランタン市場にはなかった高い機能性を誇ります。にも関わらず280gと軽量で、サイズも幅12.9mm×奥行き7.5cm×高さ2.27cmとコンパクト。
私も初めて見たときは、それまでのLEDランタンへのイメージを一新するほどの衝撃を受けた覚えがあります。キャンパー特有の「人気が出たものはなんとなく買いにくい」という謎現象から、発売当時、手を出せませんでしたが…。
最大光量で使用した場合でも8時間は使えるので、ソロデュオキャンプのメインランタンとしては十分。少し光量を落とせばランタンとして使用した後にスマホの充電も可能です。グループではサブランタンとしても使えます。
さらに耐衝撃性能を強化し、屋外での不意の落下にも耐えられるようにアップデート。雨天時や水たまりへの落下に備えて、IP65規格の防水・防塵機能も追加されました。
また、「ルーメナー7」では本体外側に配置されていた大型ハンドルを、メタル素材に変更して本体背面に。落下時に破損がしにくい仕様です。
磁石フックを取り付けることで、テントやタープなどの布地に挟み込んで設置・使用することも可能になるなど、アウトドアシーンでの使い勝手はもちろん、有事の際に考えられるさまざまな事態にも対応できるようになっています。
このように圧倒的とも言える高いスペックを備える「ルーメナー2」ですが、一方で、発売当時から現在に至るまで「LEDランタンにしては価格が高すぎる」といった声も聞こえてきます。私もそう思っていました。
今でこそ、高価で高機能なLEDランタンが当たり前になってきていますが、当時の市場を考えれば、確かにLEDランタンで1万円オーバーはなかなか手を出しにくいもの。
なぜこのような価格設定になったのか。
ここには、“なぜルーメナーを開発したのか”が深く関係しています。