走行モードはROADとECOの2種類に加えて、約15秒間、加速と最高速を向上させるE-BOOST機能も使えるとのことで、電動バイクらしいダッシュ力を活かせる作りとなっています。車体を押す際に使えるウォークモードも備えていて、こちらはリバース機能も搭載。アクセルを全閉状態からさらに奥へ回すと、後進もできるので駐車場などでの取り回し時に役立ちそうです。
バッテリーは、リチウムイオンの取り外し可能なものを2つ、通常のバイクのガソリンタンクにあたる位置に搭載。1つの重さは11.5kgで、持ち運びに配慮した作りとなっています。充電は専用の充電器を用いて1つ約3.7時間かかるので、合計7.4時間かかるとのこと。フル充電で走行可能な距離は約55kmとされていますが、60km/hでの定地走行値(ROADモード)なので実走行での航続距離はもう少し短くなるでしょう。
■東京都在住なら40万円台で購入が可能
気になる価格は「Ninja e-1」が106万7000円で、「Z e-1」が101万2000円。原付二種のバイクとしては高価に感じられますが、CEV補助金が12万円、東京都に住んでいる人なら東京都電動バイク普及促進事業補助金が46万円受けられます。東京都在住の場合、補助金の合計は58万円なので実質48万7000円(Ninja e-1)、43万2000円(Z e-1)で購入可能。こうなると、かなり魅力的に見えてきます。
気になる運動性能ですが、フレームなど車体の基本骨格は「Ninja400」のものがベースとなっています。これによってカワサキのマシンらしい安定感のあるハンドリングを実現しているとのこと。電動バイクの懸念点である重量も同クラスのガソリン車と比べても遜色ない軽さに仕上がっています。安定しているだけでなく、軽快さも持ち合わせているようです。
電動バイクは基本的にクラッチや変速機構がないので、AT限定の免許で乗ることが可能。免許を取ったばかりの初心者や、リターンライダーにとっても安心できる要素かもしれません。変速や半クラッチなどの操作がないと、操る楽しさは減ってしまうのでは? と危惧する人もいるかもしれませんが、筆者が様々な電動バイクに乗ってきて感じるのは、電動にはまた違った楽しみがあるということです。変速操作がないと、その分ブレーキングやコーナリングに集中できるので、ライディングのテクニカルな楽しさは十分に味わうことができます。
「Ninja e-1」はフルカウルにセパレートタイプのハンドルで、前傾姿勢でスポーツライディングが楽しめますし、「Z e-1」はアップタイプハンドルのストリートファイタースタイルで、タイトなコーナーなどが楽しそう。基本的なスペックに大きな差はないので、乗車姿勢やスタイリングの好みで選んでいいでしょう。
航続距離が限られるので(一充電走行距離:「Ninja e-1」55km、「Z e-1」53km ※どちらもROADモード、60km/h定地走行値、1名乗車時)、長距離ツーリングには使えませんが、通勤や短時間でライディングの楽しさを味わいたい人には気になるマシンでしょう。個人的には、ミニサーキットなどに持ち込んでのスポーツ走行に使ってみたいと感じます。
クルマの世界に比べると、電動化が遅れていたバイク業界ですが、このマシンの登場で電動でもスポーツライディングを味わえるようになったのは、大きな一歩になるでしょう。
>> Kawasaki
<取材・文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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