■ありがとうイタレリ!
近年は、再販モデルは別にして、古き良き時代のビッグスケールクラシックカーの新製品はほとんどないんですよ。70年代にはバンダイがビッグスケールのクラシックカーシリーズをリリースしたりもしていたのですが、最近はすっかり絶滅危惧種になっています。
そんな中、気を吐いているのがイタレリで、今年2023年、1/12スケールでアルファロメオ「8C 2300」をキット化!さらに続けて「1/12 ブガッティ タイプ35B」と、フィアット「メフィストフェレ」をリリース! どうしたイタレリ? 大丈夫かイタレリ? ありがとうイタレリ! って感じです。今やイタレリはクラシックカー好きの希望の星になりました(笑)。
■「8C 2300」とは
新規にキット化されたのは、1931年4月にイタリアのアルファロメオが発表したスーパースポーツモデル「8C 2300」です。
アルファロメオの名設計者、ビットリオ・ヤーノの手になるこのマシンは、オールアルミ製直列8気筒DOHCエンジンを搭載。排気量は2336ccでルーツ式スーパーチャージャーを装備していました。
生産台数は188台と言われており、1931年から34年にかけてそれらのマシンはグランプリレースに参加、数々の勝利をあげています。「8C 2300」の“8C”は8気筒をあらわし、Cはイタリア語でシリンダーを意味する『チリンドリ』の頭文字。2300は排気量を表しています。
■キットについて
イタリアの老舗模型メーカーイタレリが1/12でアルファロメオ「8C 2300」を詳細にモデル化。エンジンからシャシーフレームまでフルディテールで再現し、車内のインテリアをはじめ、ボンネット内部のエンジンも再現。もちろんボンネットは開閉可能で内部もエッチングパーツを使うことで精密作り込まれており、このモデルでは前後タイヤに取り付けられた特徴的なフェンダーやフロントのヘッドライト、ボディサイドに取り付けられたスペアタイヤ、ウインドシールドなど、ロードバージョンならではの装備もしっかりと再現し、当時の最先端技術で作られた構造を楽しめるカーモデルです。
■製作自体はサクサク進む
クラシックカーではありますが、そこは最新のキット。パーツが多いので塗装が大変ですが、インストに沿って進めていけば、ほとんど難しいところもなくサクサクと製作していくことができます。ただし国産メーカーのキットに比べてパーツのディテールに甘いところがあるので、仮組みと擦り合わせは必須作業ですよ←これ大事。
■ボディカラーが悩みどころ
キットのインストではボディカラーがタミヤTS-39マイカレッドが指定されているのですが、ちょっとキレイ過ぎるメタリックレッドというか、ん~なんだか違う気がします。あくまでも個人的な感想ですがアルファロメオ「8C 2300」は少し暗い赤、どちらかといえばメタリック感のないグロスレッドブラウン…暗めのマルーンといったイメージが強いです。
■パーツ数自体は多いけど
完成すると全長約30センチというサイズ。またクラシックカーモデルは模型でも目にする機会が少ないこともあって、ともかく存在感があります。最新のF-1マシンなどとはまた趣が違う、ある意味シブいカーモデルではあります。
パーツ数が300個を超えるので、簡単には組み上げることは難しいですが、キット自体の素性は良いので、プラモデルの製作の経験があれば、そうですね毎日1時間くらいコツコツ進めて1カ月あれば完成できるでしょう。腕に自信のある方ならばディテールアップにチャレンジするのも良いかもしれません。年末年始モデリングに達人オススメのキットです。
■こちらもオススメ!
イタレリ
「1/12 ブガッティ タイプ35B」(プラッツ扱い:2万5300円)
イタレリ
「1/12 フィアット メフィストフェレ」(プラッツ扱い:2万6400円)
<文/長谷川迷人>
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」などでもレビューを配信中。
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