ULキャンパー御用達!世界が認めるエバニュー「チタンクッカー」が定番となった理由

■焦げやすい?チタンなのに錆びちゃう?意外と知らないチタンの常識

軽くて、かっこいい、そんな「チタンクッカー」ですが、唯一の弱点は調理の難しさでしょうか。

これはエバニューの「チタンクッカー」だけでなく、チタン製クッカーすべてに共通することですが、チタンには“軽くて丈夫”というだけでなく、“熱伝導率が低い”という特徴もあります。簡単に言えば、熱が伝わりにくいという性質。

▲チタン製クッカーで上手に調理するコツは、とにかく弱火

例えば、熱伝導率が高いといわれるアルミクッカーは、バーナーで熱せられた箇所から、次第にクッカー全体に熱が行き渡ります。一方、チタン製クッカーは熱の広がりが抑えられてしまうので、バーナーで熱せられた箇所だけが熱くなっていってしまうんです。

そんな調理が苦手気味な「チタンクッカー」ですが、上手に使うコツは“とにかく弱火”だと、仲さんは言います。

「当たり前といえば当たり前なんですが、もうとにかく弱火で使ってください。みなさんが思っている弱火よりもさらに弱火。バーナーギリギリのところを狙って火力調節をした上で、とにかくよくかぎ混ぜつつ、匂いを嗅ぎながら調理を行えば、チタンクッカーでも上手に料理ができますよ。」

また、使用上の注意点を聞いてみたところ、意外な答えが。

「パッキングの際に、よくクッカーの中にガス缶をしまいがちですが、これをやめることでクッカーがより長持ちしやすくなるんです」

チタン製クッカーって錆びないって聞いたのに、なぜか内側に円形のサビが付いちゃってるんだけど、なんて経験をしたことがあるのは私だけじゃないはず。これ実は、ガス缶のサビがチタンに移ってしまっているんだそう。仲さんによると「ガス缶は鉄なので、使用後に濡れたままにしておくとすぐに錆びてしまうんですね。そこからもらいサビしてしまうと、本来錆びないはずのチタンにもサビが移ってしまいますし、これはどうやっても落ちません」とのこと。

また、クッカーの中にガス缶をいれることで、クッカー内部に細かな傷もつきやすくなるため、いずれにしてもクッカーとガス缶は別に持ち運び、収納しておくのが良いでしょう。

*  *  *

「チタンクッカー」開発の時点で70年近く燕市の職人たちと協業を続けていた、その長い2人3脚があったからこそ、そして信頼関係があったからこそ実現したチタンの安定加工。業界初のチタン製クッカーの誕生には、そんな職人たちとの絆がありました。

最後にエバニューの「チタンクッカー」の中でもお気に入りを仲さんに聞いてみました。

▲ULハイカーから大人気の「Ti 400FD Cup」(左)と仲さんお気に入りの「Ti 570FD Cup」(右)

「個人的にここ最近お気に入りの「チタンクッカー」となると『Ti 570FD Cup』(3190円)ですね。食事時のちょっとした煩わしさを抑え、口当たりと水切れもよくなりました。目盛りもインスタントヌードル用の330ml、アルファ米用の160mlを取り付けました。自分でも使っていてかなり便利です」

人気の「Ti 400FD Cup」をアップデートしたギアで、サイズアップだけでなく細かく使用感の向上を図っているにもかかわらず、重量増加は5gに抑えられているという逸品。開発には自身の毎週末の登山経験が生きているといいます。

歴史もさることながら、実際にフィールドに出る人が作っているからこそ、痒いところに手が届く。そんなアイテムになるんのではないでしょうか。

>> エバニュー

>> [連載]The ORIGIN of the CAMP GEAR

<取材・文/山口健壱

山口健壱(ヤマケン)|1989年生まれ茨城県出身。脱サラし、日本全国をキャンプでめぐる旅ののち、千葉県のキャンプ場でスタッフを経験。メーカーの商品イラストや番組MCなどもつとめる。著書に「キャンプのあやしいルール真相解明〜根拠のない思い込みにサヨウナラ」(三才ブックス)

 

 

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