■元祖焚き火台って本当?
さっそく人気の理由を…と思ったのですが、それよりも先に“焚き火台の元祖”これが気になって仕方がない。“「焚火台」が出るまでって焚き火ってどうしてたの?” “いやいや、そもそも元祖って本当?”と思った人も少なくないのでは。
林さんは当時を思い返して、「1990年代までの焚き火は、もともと調理のために行うのが主目的。そのため、野営場に常設されているレンガなどで組まれたファイヤープレイスを使うか、その辺の石を使ってカマドを組んで直火で行うのが一般的でした」と話してくれました。
焚き火台にあたるものはあるにはあったけど、それも例えばドラム缶を縦に半分に切って足を取り付けたものや、海外であれば金属製で非常に重くガッシリしたもので、どちらも常設されたもの。少なくとも今の焚き火台のように、気軽に持ち運べるようなものではなかったと言います。
そして1990年代に入り第一次キャンプブームが始まると、直火による問題が起こります。今でも時折SNSで話題に上がる、例の問題です。
「オートキャンプブームで、芝生の上で楽しむキャンプが人気になったのですが、そこで問題なったのが、直火による環境への悪影響でした。芝生や地面へのダメージが問題になり始めたのです」
それまでキャンプ場といえば土や砂利などのフィールドが多かった中、オートキャンプブーム下で新設されたキャンプ場では芝生サイトが人気に。直火を禁止とするキャンプ場が増えていく中で、ルールを守らず直火を楽しむキャンパーも少なくなかったといいます。
ブームが盛り上がるにつれて、状況は悪くなっていく。この問題の解決の一手として開発されたのが「焚火台」というわけなんです。
しかし、発売当初は“焚き火は直火だからこそ” “なんでそんな台を使わないといけないんだ”という反発の声も少なくなかったとか。それでも「諦めずに販売を続けていくなかで徐々にユーザーが増えていき、気づいたときには“焚き火は焚き火台で楽しむものだよね”というのが常識になっていました」と林さん。
「焚火台」の発売後、追従するように他ブランドからも次々と焚き火台が発売され、焚き火台を使用するユーザーが増えていきました。
今でこそ焚き火台を使うのは当たり前。その当たり前の源流にあったのが「焚火台」なんですね。これは確かに元祖だわ。
【人気の理由①】ただ開いて薪を焚(く)べるだけでいい手軽さ
このようにエポックメイキングとも言えるスノーピークの「焚火台」ですが、そうは言っても焚き火台戦国時代となっている現在のキャンプシーンでは、そのような歴史的背景だけでは生き延びられません。良い焚き火台はたくさんありますからね。
群雄割拠の中においてもいまだ焚き火台の定番ギアたらしめるその理由のひとつが、<誰でも扱える使い勝手の良さ>。
薄く平たい収納状態から開くだけですぐに使用できるシンプルさは、焚き火に初めて挑戦する人でも迷うことはありません。
また、逆四角錐の形状により、薪同士に隙間が生まれやすく、炎が上に登りやすい構造で、ただ薪を焚べるだけで勝手に燃えてくれます。さらにパーツ間の程よい隙間により、新鮮な空気を引き込みやすいというのもポイントです。