キッチンスタンドだけでなく、「洗い物を水きれ良く置けたらいいよね」ということで、格子状の天板にしたそうで、「弊社は古くからザルなどの調理器具を製造するメーカーですので、板材を線状に加工するのが得意だったということもありますね」と野﨑さんは話します。
2002年には、キッチン機能を強化した「キッチンスタンド」を発売。その拡張アイテムとして、“テントサイトシステム”から1枚だけで使用可能なものに仕様変更し、「クーラーボックススタンド」の名称で販売をスタート。この時点で「フィールドラック」と同じ仕様になっています。
しかしこの頃は第一次キャンプブームが終わり、業界が完全に冷え切っていました。
「専用のスタンドとしては他社から良い製品が出ていたので非常に苦しい状況が続きました。“このまま売れなかったら廃盤に”という話が社内でも現実味を帯びていた時期でした」
といったように、かなり苦しい局面に陥っていた「クーラーボックススタンド」。そんな同商品を救ったのは、開発部長の個人的な使い方だったといいます。
「いっそのことスタンド以外の使い方をしてみようと、開発部長の田瀬が提案してきたのが、積み重ねて使う“ラック”としての使い方でした。今思えば原点回帰の使い方ですが、試せることは全部試そうということで、カタログにもこの写真を載せ、販売店にもこの形でのディスプレイをお願いして回りましたね」
まさに藁にもすがる気持ちで、地道に“ラック使い”を提案していくうちに、じわじわとユーザーに浸透しはじめたといいます。その後、ヒアリングを重ねていくと、多くのユーザーが“ラック”として使っていることが分かり、「名前、変えましょうよ」ということで、「フィールドラック」の名称になったのだとか。
「実はこの『フィールドラック』の名付け親は私なんです」と、なんてことのないように話してくれた野﨑さんの“ややドヤ顔”、見逃してませんよ。
■ある時はラック、ある時はテーブルと、マルチに使える
「フィールドラック」はその名の通り、ラックとしてとても有能。それこそクーラーボックスはもちろん、ギアボックスや小物類を置くのに便利で、2段重ねにすれば、上段に2バーナー、下段に調理器具や食材をおいて、ロースタイルのキッチンカウンターとしても使えます。
それに道具の底を汚して持ち帰りたくないですよね。「フィールドラック」があれば地面から高さが取れるので、ギアボックス類の汚れを気にする必要もなくなりますし、特に雨天時には泥はねからも守ってくれます。
スチールにカチオンメッキを施した素材は熱にも強いので、調理後のアツアツのスキレットやダッチオーブンも置けます。個人的には、地面へのダメージを与えそうな薪ストーブや背の低い焚火台を置いて使うことも多いですね。
さらに専用オプションのテーブル用天板を購入すれば、ローテーブルに早変わり。
ソロ〜デュオキャンプくらいなら、2セットくらいあれば十分な広さのテーブルになります。
ただ、少々面食らうのが組み立て方法。わかってしまえばなんてことはないのですが、ひと目で理解するのが難しい。そこそこ力を入れて引っ張って足の爪を天板側に引っ掛けるという簡単な構造ではあるものの、慣れるまでは「え? 本当にそこに引っ掛かるの?」「どこまで引っ張るんだっけ?」となることも。
何かと便利な、なんぼあってもいいフィールドラックですが、慣れるまでの組み立てにくさというのはあるので、購入を検討している人はショップで触ってみてからがいいと思います。