発売前に色々あった「LUMIX S9」。結局売れている理由をフォトグラファー目線で考えてみた

【趣味カメラの世界 #4】

いつしか、写真はスマホで撮るのが当たり前になりました。とはいえ、写真をこと“楽しむ”という点においては、SNS全盛の今だからこそ、カメラのほうが伸びしろがあるのではないでしょうか。ということで、写真の底力を探るべく、フォトグラファーの田中さんに“ミラーレス一眼”をピックアップしてもらいました。

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スマホから始まった「趣味カメラの世界」。今回はがっつりフルサイズミラーレス一眼カメラを取り上げたいと思います。発売前に色々とあったカメラですが、蓋を開けてみればすっかり人気機種の仲間入りをしているようです。そんな「LUMIX(ルミックス)S9」(実勢価格:20万7900円前後/ボディのみ)の人気についてフォトグラファー目線で考えます!

■やっぱり、“軽くて小さい”は正義だ!

フルサイズの大型センサー搭載ながら、コンパクトで軽量なボディ。ボディ単体で、約500g(バッテリー込み)です。

さらに、軽量コンパクトな「LUMIX S 26mm F8」との組み合わせでは、レンズ込みでも約550gほど。まさに、500mlのペットボトル感覚で持ち運べます。

必要最低限のボタン周りや、ファインダーレス、あるいはアクセサリーシューが接点のないコールドシューのためストロボが使えないなど、一眼レフカメラに慣れ親しんだ人の中には、少々もの足りなさを感じる人もいるかもしれません。

かくいう私も、試用中はついファインダーを覗こうとしてしまうことがありました。

ほかにも、バッテリー充電器が無く、カメラ本体のUSB-C端子から充電するのもちょっと慣れが必要かもしれません。ただ、使っていくうちに、このカメラは「スマホの延長線上」にあるのではないかと思いました。

そう考えると、ファインダーレスな部分やUSBケーブルの充電も自然な流れのように感じます。

■アプリを活用したスマホ連携がスムーズ

本機を「スマホの延長線上にあるカメラ」と考えた場合、アプリ経由でのSNSなどへのスムーズさがより際立ちます。

専用アプリの「LUMIX Lab」は、リモート撮影などの凝った機能はありませんが、その分簡単で分かりやすいUIで、一度ペアリングしてしまえば簡単に接続できます。

接続の安定性も高く、スマホへの写真の転送も実にスムーズ。

アプリ内ではjpeg画像しか調整できないのですが、普段のスマホアプリ感覚でフィルターをかけるみたいなこともできますし、細かく設定したい場合も調整できるパラメーターが豊富に揃っています。

撮影後の電車移動中に、カメラの電源をオンにしておけば、カメラバッグに入れたままスマホに写真を転送できます。そのまま電車内で軽く編集して、SNSへアップ…という流れは、もはやスマホのカメラと変わらない感覚です。

【次ページ】レンズの種類で幅が広がる「LUMIX S9」の作例はこちら

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