■18-8ステンレス製で重厚感のある作り
YUKIWAは、新潟県燕市に本拠を構え、ステンレスを材料とした業務用卓上器物を得意とする三宝産業のブランドです。その中でM型コーヒーポットは、当時、喫茶店のマスターが使うポットといえばYUKIWAが思い浮かぶほど、印象深いプロ御用達の逸品。
18-8ステンレス製の重厚感ある作りで、容量の違いでM-7(1000cc/1万8400円)、M-5(750cc/1万6900円)、M-3(400cc/1万4400円)がラインナップされていますが、3〜4杯まで淹れるのにちょうどいいのがM-5です。
本体は約529g(実測値)で、湯を入れれば1kgにもなる重量級。当初は手がブルブルし、湯量の調整も注湯する位置のコントロールもままならないほど。それでもこの重量に慣れると安定して注げるようになります。
持ち手は中空で上下左右に空気孔が開けられており、湯の熱さが伝わりにくい仕様。また適度に太さがあるためしっかりと握れ、注湯のコントロールがしやすいのです。
ノズルは、付け根が太く先端に行くにつれスリムになる形状で、大きく傾ければお湯を太く大量に、小さく傾ければ細く少量の湯を注ぐことが可能。ポットの特性を知り、湯量のコントロールができれば抽出がブレないことを学び、次第にポットの必要性を感じるようになったのです。
■同じM-5なのに、似て非なる2台
以後17年間使っている愛用品なのですが、実はもう1台所有しています。
塾で購入したものは塾に置いておくため、自宅で練習ができない…ということで自宅で練習用にもうひとつ購入。ところが、ポットのことをあまり知らなかったので普通に注文したところ、微妙に違ったのです。
左のノーマル版は目皿(中の網)があり、右の珈琲塾で購入したものは最初から付いていません。目皿が付いていない分、傾けた際、手の動きに合わせてダイレクトに湯量が反映されるのです。
注ぎ口の先端は、左がノーマル版で右が珈琲塾版。右は先端をペンチで曲げたものでわずかながら下向きになっています。これには理由があり、コーノ式で習う淹れ方はコーヒー粉の上にポタポタと湯を置くように落とす点滴抽出という方法。
ノーマル版はスーッと細く弧を描くように注湯できますが、ポタポタと抽出するには先端を曲げてある方が落としやすいのです。
今では注ぎ口が最初から曲げられているモデルが、「コーノ特別仕様ユキワポットm-5」(2万3600円)として出ているようです。
ちなみに塾で使用するのは皆同じポットなので、分からなくならないよう底部には名前を記載。とはいえパッと見で分からないので、当時ハマっていた革細工の端切れをハンドルに巻いていました。
※ ※ ※
今は軽く、注ぎやすそうなおしゃれなポットがたくさん出ており、心が動きますが、コーヒーの奥深さを教えてくれたのはこのポットからは、離れられそうにありません。
>>YUKIWA
(写真・文/澤村尚徳)
【関連記事】
◆ハンドドリップを始める人がまず用意したいコーヒー器具5選
◆asobitoの調理道具ケースが「キャンプでドリップコーヒーセット」にピッタリすぎて感動!
◆自分だけの快適空間を生み出す最小の家具!TRUCKのフォールディングチェアは“アガリ”の1脚/a>
- 1
- 2