■ファスナーの扱いはていねいに
破損したパーツ交換は、対象箇所の縫い目をすべてほどいてから縫い直します。
ウェビング交換くらいなら短いのですが、ファスナー交換の場合は延々とほどく。これがめちゃ大変で費用もかさむんですって。
ファスナー破損の原因は、手で生地を寄せずにスライダーで生地を寄せちゃうような使い方。ファスナーが開いたままテントをたてて、無理矢理ファスナーを閉じるなんてことをすればてきめん。気をつけて!
あと、ファスナーの間から煙突を出す人がいますが、ファスナーと生地が溶けちゃう危険があり、いいことなんてありません。
■どうする?シームテープの劣化
一方、化繊テントで避けて通れないのがシームテープの劣化、剥がれ。
濡れたまま保管したり、キツキツの収納袋に入れて長期保管すると劣化が早まるとのこと。かといって広げて保管すると酸化する。こうればっかりはどうしようもありません。
じゃあ剥がれたら?
市販のテープを使って自分で処理すると安価にできますが割と持ちが悪いし、なによりも大型テントだと結構面倒くさい。
コンペイジに依頼すれば生地との相性が良い素材を使い、適切な温度でシームテープを貼るので、自分で処理するよりも長持ち。
「生地とテープの相性、加工スピードやローラーの圧力など生産工場と同じ規格にして精度を保っています」(遠藤さん)
もっとも新品と修理品ではPUの劣化具合が違うので検証しながら進めるしかないそうです。
裏面のコーティング層が剥がれちゃうと生地の防水機能が損なわれるので、当て布をしてその周囲をシーム加工するなんていう対応も。剥がれたところの防水機能はどうにもなりませんが、雨漏りは防げるというわけ。
下から水圧(0.02mpa=耐水圧約2040mm)で生地を押し上げる専用の機器で貼り替えたシームテープをチェック。
水圧で押した表側は濡れていますが、シームテープ側はドライなまま。
2000mmなんて桁がひとつ少ないじゃない?と頼りなく感じるかもしれませんがこれはあくまで耐水テストで、限界を調べるものでありません。
雨傘の耐水度は1000mmで十分とされていて、実際の耐水圧はもっと高いのでご安心を。
■水漏れトラブル? いやいや、結露かも
「水漏れする」という相談には、実際に水をかけて検証します。
結露であることが多いんですが、状況により検証動画を撮ってユーザーと共有することも行い、それからも安心して使ってもらえるとのこと。
この心配りがいいですね。
水漏れ検証のあとは60℃の温風でゆっくり乾燥。高温だとPU加工やシームテープがやられちゃうので、高すぎない絶妙な温度。
それにしてもテントの撥水力低下、なんとかならないのでしょうか?
「なんとかしたいといくつかの化学薬品業者から数種類の薬品を取り寄せてテストしたんですが、薬品の濃度や定着させる温度などの条件がなかなかシビアな内容で…。生地工場のように大型のコーティング設備で加熱しながらゆっくりはっ水剤を定着させるのとは違って、製品に後付けするのでアイロンを使います。高温だともともと定着していたはっ水剤がはがれるなど温度設定が難しいんです。結局、市販の撥水スプレーをこまめにかけるのが一番」(遠藤さん)
■捨てる前に相談しよう
テンマクブランド以外の製品は、さすがに純正と同じ素材での修理というわけにはいきませんが、アウトドア製品に詳しく、質の高い修理と加工サービスを受けられるのは大歓迎。
広範囲の穴空きや生地自体が劣化しているなど、強度を保てないものは修理できませんが、思い出の詰まった捨てるには忍びない穴空きテント&タープがあるなら相談しては。
あきらめていた幕が復活して、またキャンプの思い出を重ねられるかもしれませんよ。
>> コンペイジ
>> [コンペイジ修理相談]repair-1@compasi.co.jp
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。X
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