2. 世界初の全金属製旅客機に昂ぶる!
【これは欲しい度】★★★★★
ミニアート(プラッツ扱い)
「1/48 ユンカースF13 初期生産型」(1万780円)
※1月発売
SFモデルばかり作ってはいますが、達人としてはやはり飛行機モデルは外せません。ユンカース F.13(Junkers F.13)は、第一次世界大戦の終わりにドイツで開発された世界初の全金属製旅客機です。
旅客機とは言っても1919年に作られた航空機。パイロットは半解放式の操縦席に乗り込み、乗客定員は4名でした。それでも胴体側面に窓とドアが設けてあり、密閉されたキャビンは暖房も装備。そして当時としては珍しい乗客用のシートベルトも備えられていたそうです。
プラモデルとしてはRevell社が1/72でプラモデル化していましたが、1/48スケールでは初のプラモデル化です。
このユンカースF.13が面白いのは、まだ大抵の飛行機が木と羽布張りで作られていて時代に、機体に強度を持たせるためにユンカース独特の波形ジュラルミン製応力外皮で機体が作られていたこと(波形ジュラルミン製応力外皮って何だろうとお思いでしょうが、分かりやすいイメージとしては波板のトタンみたいなものです)。
翼も先進的な片持ち式単葉機で、当時なんと300機以上が生産され、ルフトハンザ航空をはじめ23か国(日本も含む)の民間航空路において約20年間にわたり使われた旅客機でした。1920年代の最新鋭エアライナーだったんですね。
いやカッコいいです! これは作りたい!
今回、ユンカースF.13キット化してくれたミニアート(MiniArt)社はウクライナの模型メーカーで、日本でも馴染み深いメーカーでもありAFVをはじめ多くのプラモデルをリリースしているメーカーです。中身は良くも悪くもマニアックですけどね。
3. 古き良き時代の旅客機プラモデル第2弾!
【これは欲しい度】★★★★☆
アーモリー
「1/48 デ・ハビランド DH.89ドラゴン・ラピード」(1万6390円)
※発売中
DH.89ドラゴン・ラピードはイギリスのデ・ハビランド社が開発した双発輸送機ですが、主に近距離旅客機として運用されていました。初飛行が1934年なので、先に紹介のユンカースF13よりもちょっと後の時代のエアライナーとなりますね。
機体はベニヤ板使用の木製で、複葉の翼は羽布張り、スパッツ付きの固定脚とエンジンカバーが一体になったナセルという特徴的なスタイルが目を引きます。乗員は1名、乗客8名を乗せることができました。
1919年に作られたユンカースF-13は単葉の全金属製機体でしたが、DH.89の機体は複葉で木製羽布張り。第一次大戦と第二次大戦の間に作られた機体らしい華麗なフォルムですが、操縦性に優れていたこともあり、当時商業的に最も成功した機体だったそうです。
この美しい複葉の旅客機“ドラゴン・ラピード”もこれまでプラモデルには恵まれておらず、今回ウクライナの模型メーカー、アーモリー(Armory Models Group)が1/48でキット化してくれたのは感涙ものです(ちょっとお高いですが…)。
キットはかなりマニアック。パーツはバラバラで組み上げるのに苦労させられるし、細部はエッチングパーツが奢られているけれど、正直細かすぎて製作中にウキーッ!とキレること請け合いです。それでも古き良き時代の美しく華麗な複葉の旅客機DH.89ドラゴン・ラピードはぜひ作りたいプラモデルとしてオススメしちゃいます。
4. ホバークラフトは男のロマン!1/35では初のスケールモデル化された米海軍PACV
【これは欲しい度】★★★★★
ゲッコーモデル(Gecko Models)
「1/35 米海軍 エアクッション パトロールボート(PACV) 後期型」(2万2055円)
※発売中
プラモデル(スケールモデル)ではありそうでなかったホバークラフト。英国のエアフィックスが1/72と1/144スケールでキット化していましたが、1960年代の発売で今やビンテージプラモデルとなっています。以降、スケールモデルとしてはほとんどキット化されることがありませんでした。
そして昨年、ゲッコーモデルがやってくれました! 1/35スケールでアメリカ海軍がベトナム戦争に投入したPatrol Air Cushion Vehicle(=PACV)をモデル化してくれたのです。
PACVは水陸両用の新兵器として数隻を実戦に試験投入した河川哨戒艇です。水深の浅いメコンデルタなどの浅い湿地帯で特に有効であり、そのスピードと機動性、優れた火力により、哨戒だけでなく他の船の護衛や偵察、重火器の輸送、歩兵の直接火力支援などに使用されました。1250馬力のガスタービンエンジンを載んで最高速度90km/hで陸上も水上も走破するPACV。プラモデルとしてこれほど魅力的なアイテムはないですね。
ゲッコーモデル(Gecko Models)はあまり馴染みのない名ですが、香港を拠点にミリタリーモデルを販売している新進メーカーです。
キットはAFVモデルのスタンダードサイズの1/35スケールでキット化。 キット化されるという発表以降、発売前から国内外で話題になっていたキットです。
サイズもデカくて迫力満点だしディテールの再現も文句なし!
そしてやはりホバークラフトのジオラマにしたくなります。というワケですでに購入しちゃいました!
ミリタリー派のモデラーにはオススメ×2のモデルですよ。
5. 2025年もやはり外せません!ユニバーサルムービーモンスター!
【これは欲しい度】★★★★☆
エクスプラス(X-PLUS)
「1/8 フランケンシュタインの花嫁 生命創造の実験の末に蘇った美しき花嫁“ブライド”」(8800円)
※発売中
Elsa Lanchester’s likeness is licensed by the Motion Picture and Television Fund. The Bride of Frankenstein c Universal City Studios LLC. All Rights Reserved.
アビエーションモデルもいいのですが、達人的にやっぱり外せないのが、往年のユニバーサルのSF映画に登場するユニバーサルモンスターであります。以前同じエクスプラスから発売された1/8スケールのベラ・ルゴシのドラキュラも紹介(「第61回全日本模型ホビーショーで発見!プラモの達人が「作りたい」と思った最新キット7選」)しましたが、今回フランケンシュタインの花嫁が同社から発売されました(感涙)。
1931年公開の映画『フランケンシュタインの怪物』に登場する、ボリス・カーロフ演じるフランケンシュタインも魅力的なのですが、続編となる1935年公開の『フランケンシュタインの花嫁』で生命創造の実験の末に生み出された美しき花嫁“ブライド”も十分魅力的。
キットはエルザ・ランチェスター演じるブライドの美しい顔立ちや特徴的なヘアスタイル、白髪のハイライトはもちろん、伸ばした指の先端まで繊細に再現立体化。また、ドレス姿と包帯姿のフィギュアを楽しむことができるので塗装を×2で楽しめます。
同社のキットは組みやすさを重視したジオラマ風モデルとなっており、この手のモデルを作ったことがない人でも楽しめます。
(C) Universal City Studios LLC. All Rights Reserved. Bela Lugosi (TM) and Bela Lugosi as Dracula (TM) (C) 2024 Lugosi Enterprises
>> [連載]達人のプラモ術
<文/長谷川迷人>
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」などでもレビューを配信中。
【関連記事】
◆プラモの達人が気になった2024年発売のキャラクター系プラモデル6選
◆マニア向けアイテムと再販が目立った2024年の乗り物プラモを振り返る
◆タミヤを堪能する秋のホビーイベント「タミヤフェア2024」レポート【達人のプラモ術<番外編>】
- 1
- 2