■街乗り向きの“モタード”モデルも登場
過去に“モタード”と呼ばれた、17インチのオンロードタイヤを履いたモデルも登場しています。
「DR-Z4SM」や「KLX230 SM」がこのカテゴリー。車名にある「SM」は“スーパーモト”の略で、過去には“スーパーモタード”と呼ばれたオンロードとオフロードが混在するレースのカテゴリー名です。

▲スズキ「DR-Z4SM」
舗装路のほか、ダートやジャンプもあるコースで競われるため、オフロードモデルをベースに17インチのハイグリップタイヤを履かせたマシンで競われていました。軽量な車体にハイグリップタイヤを履かせたスタイルのマシンは街中での取り回しが良いため、人気が出て一時期はラインナップも充実していました。

▲カワサキ「KLX230 SM」
筆者も長く乗っていた経験があるため、復活を喜んでいるカテゴリーです。
■“アドベンチャー”マシンもオフロードを走れる

▲ヤマハ「テネレ700」
世界的に人気が高まっている“アドベンチャー”マシンと呼ばれるカテゴリーにも、オフロードを走れるマシンが増えています。大陸を横断するようなロングツーリングに対応したカテゴリーで、ラリーマシンにルーツを持つだけにオフロードを走れるのは当然のようにも思えますが、オフロードを得意としたモデルと、オンロードを重視したモデルが存在します。

▲ホンダ「XL750トランザルプ」
今回はオフロードを得意とするモデルを紹介しますが、ヤマハの「テネレ700」やホンダの「XL750トランザルプ」「CRF250ラリー」など、フロントに21インチホイールを装備したマシンはオフロードを重視しているといえます。ホンダの「CRF1100アフリカツイン」シリーズにもフロント21インチモデルが存在します。

▲ホンダ「CRF250ラリー」
■“モトクロス”や“エンデューロ”など競技用モデルも

▲ホンダ「CRF250R」
オフロードバイクには公道を走れるモデルのほかにも、“モトクロス(モトクロッサー)”や“エンデューロ”と呼ばれる競技向けのマシンも市販されています。大きなジャンプのあるコースをハイスピードで走れる足回りとエンジンを搭載しているのが“モトクロス”マシン。丸太のような障害物を越えながら森の中を走るコースに対応し、やや柔らかめの足回りと低中回転域を重視したエンジンとされているのが“エンデューロ”モデルになります。ホンダでいうと「CRF250R」が前者、「CRF250RX」が後者に当たります。

▲ホンダ「CRF250RX」
国産だけでなく、海外メーカーからもリリースされていて、“エンデューロ”マシンの中には、公道での移動路があるコースに対応するためナンバー取得が可能なモデルもあります。また、競技用マシンの中には2ストロークエンジンを搭載したモデルも。より難易度の高いコースを走破する“ハードエンデューロ”と呼ばれるカテゴリーでは、軽量な2ストロークマシンが主流になっていたりします。国産の2ストロークの“エンデューロ”マシンとしてはヤマハの「YZ125X」や「YZ250X」といったマシンが人気です。

▲ヤマハ「YZ125X」
競技用マシンは基本的に公道走行はできませんが、国内で開催されているエンデューロやクロスカントリーレースは多くのエントラントを集めています。国内では未舗装の林道も数が限られてきているので、思い切り走れるクローズドコースへ行くのもオフロードを楽しむ1つの手段でしょう。
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新型モデルの登場で久しぶりに盛り上がりそうな国内のオフロード市場。それだけバイク人気も定着してきたと見ることもできます。マシンやギアといったハード面だけでなく、走れるコースや楽しみ方の拡大など、ソフト面での充実が今後は望まれるところです。
<文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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