スーパーカーたるもの道なき道を往け【model cars】

1970年代に少年時代を過ごした方ならば、大半がスーパーカーブームというものを経験されていることかと思う。カウンタックにミウラにフェラーリ512BB――楔形の懐かしいクルマたちの姿がすぐに思い浮かべられるはずだ。それらの最高速は300km/hとも言われたが……今となってみれば、夢は夢のままとどめておいた方が良い、というのは大人の常識。

あれから早半世紀近い時間が経ったが、現在もスーパーカーは健在である。ただ、今やスーパーカーといえども、環境性能や安全性などが厳しく問われる時代。フェラーリもランボルギーニも本当に300km/hで走るようになったが、一方でハイブリッド車をリリースし、動力源を内燃機関(エンジン)だけに頼ったモデルは終焉までのカウントダウンが始まっている。

そして、もうひとつの変容としては、現在の乗用車の主流が、道を選ばないSUV的なシャシーにセダンやワゴン、クーペなどのボディを組み合わせたクロスオーバー車となっている点もスーパーカーに大きく影響を及ぼしている。かつてはスーパーカーと言えば地を這うような車高で、高速道路などは大得意だが、路地裏の走行は難しく、未舗装路などもっての他、積雪時などはガレージにしまい込んでおくのが常識だった。ところが、昨今のスーパーカーはそれでは務まらない。オールテレーン性――道なき道も往ける、路面状況や気候を選ばない、真の意味でのスーパーカーというものが求められているのだ。

そんな高まりつつあるオールテレーンなスーパーカー需要だが、例えばポルシェ911をベースに車高を上げたサードパーティによるオーバーランディング系カスタムは2010年代に入りひとつのトレンドとなっていた。それに応えるかたちで、2022年にポルシェ自ら、メーカー公式モデルとしてオフロード走行も可能なポルシェ911ダカールなるモデル2500台限定で生産した。

それに続いたのが、スーパーカー・メーカーのランボルギーニで、2023年に同社のエントリーモデル(といっても庶民には手の届かない存在だが)のウラカンをベースに、車高を44mmも上げて、大径タイヤを履きワイドトレッド化、さらにオーバーフェンダーも備えてオフロード走行も得意とするステラートを発表している。

【次ページ】ランボルギーニ社から実車データを譲り受けたモデルカー

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