富士フイルム「GFX100RF」で広がる撮影の幅。構図が変われば写真がもっと面白くなる!

【趣味カメラの世界 #20】

いよいよ4月10日に発売されるFUJIFILM(富士フイルム)の注目モデル「GFX100RF」(83万5000円)。前回に引き続き、その実力をフォトグラファーの田中利幸さんがじっくりレビューします。

今回のテーマは、“アスペクト比”と“デジタルテレコン”。高画素の魅力をどう活かせるのか、一緒に探っていきましょう。

監修・執筆:田中利幸(たなかとしゆき)|ファッション誌などでブツ撮りやポートレートを中心に活動するフォトグラファー。カメラ・ガジェット好きで自身で運営するブログ「Tanaka Blog」において、カメラやガジェットに関するちょっとマニアックなことを書いている。

 

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写真の印象って、どこをどう切り取るかでずいぶん変わってくるんですよね。
富士フイルムの「GFX100RF」は、そんな“切り取り方”の楽しさを、思いきり広げてくれるカメラです。

ラージフォーマットらしい豊かな描写力に加えて、アスペクト比の切り替えやデジタルテレコン、フィルムシミュレーションなど、撮影の幅を広げてくれる機能がいろいろ搭載されています。

なかでも印象的だったのが、アスペクト比の変更とデジタルテレコン。「ただトリミングしてるだけじゃないの?」と思いきや、1億200万画素というとんでもない解像度のおかげで、まるで別の視点を手に入れたような感覚になります。今回は、実際にいろいろ試しながら、その魅力をじっくり探ってみました。

■専用ダイヤルでサクッと切り替え。アスペクト比で変わる景色の見え方

カメラの背面には、アスペクト比を切り替える専用のダイヤルが付いています。「撮ったあとでトリミングすれば同じじゃない?」なんて最初は思っていたんですが、いざ使ってみると、見慣れたアスペクト比を変えるだけで、いつもの風景がちょっと新鮮に見えるんです。それがなんだか楽しくて、「このダイヤル、意外とアリかも」と思うようになりました。

▲シャッタースピード0.6秒、F22、ISO80、フィルムシミュレーション:クラシックネガ

こちらは、いちばん細長い「17:6」の画角。これほど極端に細長い写真で撮ると、見慣れた風景がなんだか映画みたいに見えてくるから不思議です。

▲シャッタースピード1/320秒、F8、ISO80、フィルムシミュレーション:プロネガハイ

「65:24」という、ちょっと変わったアスペクト比。これは、アナログカメラの名機「TX-1」や「TX-2」に由来した、富士フイルムならではの比率なんです。

17:6よりも少し縦に余裕があるので、ワイド感はしっかりあるのに、思ったより扱いやすいのもいいところ。

▲シャッタースピード1/100秒、F5.6、ISO200、フィルムシミュレーション:アクロス

中判といえば、やっぱり一度は撮ってみたくなるのがスクエアフォーマット。SNSでもよく見かけるおなじみの正方形の写真ですが、実際にやってみると、構図をうまく収めるのって案外むずかしいんです。

もちろん、あとからトリミングすれば見た目は同じになるけれど、撮るときからスクエアで仕上げるつもりで構図を考えると、見えてくる景色がちょっと変わってくる気がしました。そのままスマホに転送して、アプリでパッとSNSに投稿、なんて使い方にもぴったりです。

【次ページ】"1億画素”あるからこそできる「ズーム的」な遊び方

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