今回、お話を伺ったのはモバイル・アクセサリーのメーカーとして人気Hamee(ハミー)さん。神奈川県小田原市の本社を訪ね、プロダクトマネジメント部マネージャー・髙橋雅史さんに根掘り葉掘り聞いてみました。
➖まずは最大の疑問。iPhone発売前に、どうやって開発しているんでしょう。まさか、ネットで出回っているリーク情報を参考にしてるなんてことはないですよね?
高橋:いえ、実はその通りなんです……。
➖ええーっ! 取材冒頭の軽い冗談のつもりが、いきなり真相を探り当ててしまったのか!? しかし本当にそんなことが?
高橋:初期段階ではユーザーの皆さんと同じように、海外を含めたネットメディアのリーク情報、「次のiPhoneはこんなサイズになる」とか「こんな機能が搭載されるらしい」という記事なんかも参考にしています。それと、弊社は海外にいくつか拠点があるので、中国の生産拠点の周辺で情報収集をしたりして、集めた材料を多角的に判断しているという感じですね。
➖いや、てっきりメーカーさんには事前にアップルから仕様情報みたいなものが極秘で流されたりしてるものだと思ってました。
高橋:アップルさんから正式な情報をもらうことはないですね。一部パートナー企業などには流れているのかもしれませんが、同業他社もだいたい同様だと思います。だから情報収集の過程で、他のメーカーさんと情報交換したりもしてますよ。
■どういうスケジュールで開発・生産してるんですか?
➖そ、そうだったのか……。でもそうなると、発表前に店頭に並べるためには、どんなスケジュールで開発してるんでしょう?
高橋:今、iPhoneはだいたい9月に発表されるので、6~7月あたりが、僕らが一番落ち着かない時期になりますね。日本時間で夜中に行われる正式発表の時は、正座して祈るような気持ちで見る感じですよ(笑)。
だいたい6月末から7月頭にはかなり精度の高い情報を手に入れておく必要があります。とはいえ、確定発表前ですので、金型から自社で作る製品については、複数案を並行して進行します。そこからサンプルができてきたらチェックして、7月から8月にかけて量産指示を出します。その頃には同時進行でいろんなことが進んでいて、1日単位でいろいろと計算しながら動いてますね。最終的な出荷判断は、9月のアップルからの正式な発表に基づいて行います。
➖しかし正式な情報でない以上、ガセネタも含まれてたりする危険性もあるんじゃないですか?
高橋:ありますね。でも年を追うごとに、どこの情報が信頼性が高いかという判断もだんだんとできてくるようになりました。どっちみち製品が出たら答え合わせができるわけですしね。でも最後は会社としてどこまでリスクを張れるかという判断になってきます。