安蔵:ソニーが新規事業を創出する「SAP(Seed Acceleration Program)」の一環として、デジタルトイ「TOIO(トイオ)」を発表しました。ソニーグループとしては以前にこの連載でも紹介した「KOOV(クーブ)」という「プログラミング学習キット」もありますが、学習向けではなくシンプルに楽しめるおもちゃという意味ではTOIOが初めてかもしれませんね。
ソニーが2017年12月1日に発売する予定のデジタルトイ「TOIO(トイオ)」(市場推定価格2万円前後)。キューブ型のロボット(コンソールの右側にあるキューブ型のもの)に工作物やキャラクターなどを載せて遊べる体感トイプラットフォーム。コンソールにカートリッジ(写真中央奥)を挿すことで、さまざまな遊び方ができる
奈津子:TOIOは紙を切って工作したり、レゴのブロックを載せたりしながら、直感的にロボットを動かして楽しめるようになっています。電車のつり革のようなシンプルなコントローラーが付いていて、コンソールの画面がかなり小さいのが印象的でした。かなりデジタル技術を駆使したおもちゃなのですが、どこかアナログ的なのが新鮮です。
安蔵:KOOVが「ロボットプログラミングを学習する」というのが最大の目的なのに対し、TOIOはロボットを軸にしながら「頭と手を使って昔ながらの遊びをする」といった方向性なのが興味深いですね。
奈津子:担当者は「おもちゃそのものに対しての洞察力と想像力を伸ばしたいので、遊ぶ際に画面をあまり見てほしくない」と話していました。デジタル技術を駆使しているのにもかかわらず、スマホをあえて必須にしていないのも、親御さんからすると安心感がありますね。
安蔵:基本セットが約2万円からと決して安くはないので、ついつい「プログラミング学習もできるのか?」とか「スマホと連携してアップデートすることは可能なのか?」とか気になってしまいましたが(今後出てくるタイトルによっては可能になる可能性もあるとのこと)、狙いはそこじゃないんですよね。竹とんぼを作ったり、コマを回したり、メンコにロウを塗ってカスタマイズする……みたいな昔ながらの遊びを、ロボットを使って体感できるというところにTOIOのミソがあるのかなと思います。
奈津子:そうですね。スマホを子供に与えないのはいろいろな面で安心ですし、子供が夢中になって遊ぶゲームはいかんせん、画面にかじりついているイメージがあります。図画工作的な要素もありながら、最先端のテクノロジーが融合されていて、いいとこ取りで絶妙なバランスという感じですね。お値段はちょっとお高いですが、子供たちのクリエイティブな発想が生かされるので、親御さんにとってもいいのではないでしょうか。