■ホンダシビック(1972年) -リアワイパーを日本初採用
ハッチバックはもちろん、ミニバンやSUVなどリアドアを持つ車種に多く採用されているリアワイパー。これらのボディタイプにリアワイパーが取り付けられているのは、形状的にリアウインドウが汚れやすいからです。
リアワイパーを日本で初搭載したのは1972年に登場した初代シビック。シビックはまず7月に2ドアセダン(形状はハッチバックに近い)が登場。そして8月に3ドアハッチバックと上級グレードのGLが登場します。このGLに日本初のリアワイパーが搭載されたのです。シビックは前後ともにガラス面を大きくし、視認性をよくしていました。リアワイパーはそれを生かす装備として採用されたのでしょう。またGLはリアワイパーウォッシャーと電熱線入りリアウインドウも装備。雨天や冬の後方視界確保に貢献しました。
■日産チェリー F-II(1974年) -運転状況を知らせるエコノメーターを採用
1974年に2代目へとモデルチェンジしたチェリー。このモデルからF-Ⅱというサブネームが付けられました。そんなチェリーF-Ⅱが登場したのはオイルショックの真っ只中で、ユーザーの低燃費志向が高まった時期です。
チェリーは走行中のエンジン負荷状況をドライバーに知らせるエコノメーターを装備しました。これは、エンジン内の負圧を圧力計で検知し、今の走行が「エコノミーラン」か「ダイナミックラン」かを判断し表示するもの。平均燃費や瞬間燃費はわかりませんが、多くの人が燃料を節約するためにエコノミーランを意識して走行したのでしょうね。
■三菱ギャランΣ(1980年) -日本初の燃費表示を含んだエレクトロニック走行情報表示システムを搭載
チェリーF-Ⅱのエコノメーターはまだ燃費を表示することはできませんでしたが、1980年に登場したギャランシリーズの4代目となるギャランΣ(シグマ)、さらに兄弟車のギャランΛ(ラムダ)、エテルナΣ、エテルナΛは「VELNAS」と呼ばれるエレクトロニック走行情報表示システムを搭載。国産車で初めて燃費表示ができるようになったのです。VELNASはほかにも平均車速や燃料消費量、ストップウォッチなども表示されました。
4代目ギャランシリーズは国産車で初めてとなるターボディーゼル搭載グレードを設定。このエンジンはディーゼル車では世界初のサイレントシャフト、日本初のエンジン側からの騒音・振動を吸収するフルードカップリング付トランスミッション、加速時の騒音を抑えるクランクプーリートーショナルダンパー、噴射時期自動コントロールシステムなどの画期的なシステムを採用。さらに後席パワーシートも備わるなど、ラグジュアリー性能も秀でていました。
■ホンダアコード(1981年) -クルーズコントロールのスイッチをステアリングに設置
ウインカーやワイパーのスイッチ(レバー)を動かす際、ほとんどの人はスイッチの位置を目視しないで動かしているはずです。ステアリング周りにあるスイッチは運転中にステアリングを握ったまま操作できるので、位置さえわかれば目視せず前を見たまま操作できるというメリットがあります。走行中に前方から視線を外すのは危険ですからね。現在はオーディオやBluetoothで接続したスマートフォンの操作、インパネ内のインフォメーションの切り替え、クルーズコントロールの設定など、さまざまなスイッチがステアリング周りに集中しています。
1981年にフルモデルチェンジした2代目アコードには、全グレードに装備されたクルーズコントロールのスイッチをステアリングに初搭載(リジュームスイッチ)。速度設定時の安全性を高めました。また、この時代のアコードはホンダのフラッグシップモデルだったこともあり、運転席と助手席それぞれの使い勝手を考慮して設計された日本初の性格分けパーソナルシート、極微風をマイルドに送風する世界初のマイルドフローベンチレーションシステム、車速に応じて手応えと切れ角が変る世界初のニュー車速応動型/バリアブルパワーステアリングなどの装備が奢られました。
■三菱コルディア(1982年) -世界初となる液晶電子メーターを採用
1980年代のクルマの装備で憧れたもののひとつに、デジタルメーターがあります。車速とともに速度表示の数字が上がり、エンジン回転数を表示するインジケーター(タコメーター)が点灯していく。そこに未来を感じた人も多いはず。
当時のデジタルメーターは発光ダイオードなどを利用したものが主流でしたが、ミラージュをベースに開発されたスポーツクーペ、コルディアはカラー液晶で表示するメーターを世界初採用。直射日光の下でもはっきり見える、目が疲れにくいことを強調しました。ちなみにコルディアは1.6Lクラスで世界初となるターボを搭載したモデルとしても知られています。
■日産ローレル(1984年) -電動格納式ドアミラーを世界初採用
日本の駐車場はお世辞にも広いとはいえず、降りるのに苦労するような場所も少なくありません。そんなこともあり、日本では電動格納式ミラーが早い段階から普及していました。
そんな電動格納式ミラーを初搭載したのは1984年にフルモデルチェンジした5代目ローレル(C32型)。フェンダーミラーしか認められていなかった日本でドアミラーがつけられるようになったのは’83年。その翌年には電動格納式が登場し、普及していくことになります。
普及が早かったのは、日本の駐車スタイルも影響したはず。前向き駐車が一般的な国だとクルマから降りる際、ドアミラーは人の進行方向の後ろにあるので邪魔になりません。ところが日本のように後ろ向き駐車をすると降りてから歩きだすときに体をミラーに引っ掛けることがあるのです。クルマに戻ったら隣に止めた人が自分のクルマのミラーをグニャッと曲げていたら腹立ちますもんね。輸入車では割と最近まで付いていないものも珍しくありませんでしたが、現在では多くのモデルで採用されています。
[関連記事]
【クルマ初モノ図鑑⑧】今では“当たり前”の電装装備を初搭載したのは?
【クルマ初モノ図鑑⑦】オープンカーにツートンカラー、あのスタイルの初採用車は?
【クルマ初モノ図鑑④】安全装備~ブレーキ機能向上時代から自動制御へと進化
(文/高橋 満<ブリッジマン>)
- 1
- 2