1980~90年代、果敢にグリルレスに挑んだクルマたち

■日産NXクーペ(1990年)

小型セダンのサニーをベースに開発されたNXクーペ。特徴はくぼんだヘッドライト。デザインはフェアレディZがモチーフになっています。スタイルがファニーすぎたのか日本での人気はいまひとつでしたが、北米では若い女性を中心にヒットモデルとなりました。

 

■日産プレセア(1990年)

1980年代中盤から、カリーナEDやコロナエクシヴなど、クーペのような雰囲気が漂う4ドアハードトップの人気が高まりました。日産がその市場に投入したのがこのプレセア。プレセアはグリルレスデザインを象徴するモデルとして現在でも語られています。丸みを帯び、ツルンとした卵のようなフロントフェイスは、どことなく女性的で気品のある雰囲気に仕上がっています。インテリアも高級感が高められていて、奥様のセカンドカーとして選ばれました。残念ながら2代目はグリルをつけたデザインに方向転換。デビューが早すぎたのか初代はヒットモデルとはなりませんでしたが、今見るとかなりいいデザインなのではないでしょうか。

 

■トヨタソアラ(1991年)

1981年に登場した初代、’86年登場の2代目がハイソカーブームを牽引。バブル時は「ガイシャかソアラじゃないと助手席に乗りたくない」という女子が現れるほど一世を風靡したソアラ。’91年デビューの3代目はスタイルを大きく変えて登場。ここには北米でレクサスSCとして販売するという戦略上の理由も伺えます。日本ではバブルが終焉しクルマの流行がクロカンやミニバンに移行したこともあり販売が低迷。「売れないのはグリルレスだから」ということも囁かれました。それが理由かどうかは定かではありませんが、3代目ソアラは’96年のマイナーチェンジで小さいながらフロントグリルがつけられたのです。

 

■マツダランティスクーペ(1993年)

マツダが5チャンネル販売を行っている時期に登場したランティス。ランティスには4ドアハードトップと5ドアハッチバックのランティスクーペがあり、フロントマスクを含めてデザインは大きく異なりました。ハードトップはグリルが与えられたオーソドックスなデザインなのに対し、ランティスクーペはグリルレスでスポーティな雰囲気に。ただ、どちらも販売台数は伸び悩みました。

 

■ホンダS2000(1999年)

ホンダ29年ぶりのFRモデルとして大きな話題に。搭載される直4DOHC VTECはNAながら250psを8300rpmで発生。リッターあたり125psという驚異的な数値を叩き出しました。スポーツ性はもちろんデザインの評価も高く、2シーターオープンということで台数が売れるモデルではありませんが人気はかなりのもの。車両状態にもよりますが中古車市場では現在でも90万~450万円(価格応談も多数)という高値で取引されています。

 

■グリルレス=本当に不人気なのか!?

こうやって見てみると、グリルレスデザインを採用した中にもヒットモデルはあることが分かります。グリルがないとフロントフェイスは間の抜けた感じになってしまうこともあります(人の顔で言えば鼻がないので、ツルンとしてしまうため)。でも、 そこをうまく処理したクルマは人気となっています。とくにボンネットが低くどっしり構えたスポーツタイプはグリルレスでもシャープな雰囲気になりますよね。

国産現行モデルを見てみると、グリルレスデザインを採用しているのはトヨタ86/スバルBRZ、日産フェアレディZ、マツダロードスターなど、スポーツモデルが多くなっています。クーペやオープンに乗りたい人は、シャープなグリルレスモデルを選んでみるのもアリだと思いますよ!

 


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(文/高橋 満<ブリッジマン>)

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