グランドセイコーのムーブメントが刻み続ける腕時計の新時代【ニッポン発の傑作モノ】

▼グランドセイコー商品担当者に聞いたふたつのムーブメント

 


マーケティング二部 江頭康平さん2008年、セイコーウオッチに入社後、営業職を担当。'11年よりグランドセイコーの企画に携わる。思い入れが強いのは、往年のスタイルを復活させた「44GS」の現代デザイン

 

 

■クオーツ9系ムーブメント25周年は別地域の時刻がひと目で分かるスポーツモデル

▲キャリバー9Fを初めて搭載したのが、1993年のグランドセイコー「9F8」シリーズ。精度のほか、針やカレンダーの動きまで緻密に作り込まれていた。なお、当時のムーブメントに施していたのは放射状の紋様

1993年に誕生以来、最高峰のクォーツムーブメントであり続ける「キャリバー9F」。今も基本構造が変わらないという、非常に完成度の高いムーブメントが生まれたきっかけは、クォーツ時計の針にあった。グランドセイコーの企画に関わる江頭康平さんは、当時の経緯を次のように説明する。

「70年代以降におけるクオーツ時計の爆発的な普及を経た80年代、セイコーらしい高品位な紳士向けモデルがないことが社内で課題になりました。そこで浮上したのが、グランドセイコーの存在。88年に一度はクォーツモデルを発売しましたが、細い針への評価が芳しくなかったことで、グランドセイコーの名に恥じない新ムーブメントの開発に着手したのです」

イメージしたのは、太くて長い針を備えた初代グランドセイコーの姿。このスタイルをクォーツでも実現すべく、トルクの強化からリューズを回した時の感触、メンテナンス性、全体の剛性など、あらゆる要素を一から見直すことに。そして、93年に“クォーツを超えたクォーツ”である「キャリバー9F」が、遂に世に送り出されたのだ。

25誕生周年を迎えた今年、その記念モデルがリリースされている。時計ファンを驚かせたのは、キャリバー9F初となるGMT機能を搭載したこと。時分秒針を含む4本の針を取り付ける軸が干渉しない“4軸独立ガイド構造”を新たに開発。スムーズな運針を追求した。

「25年間でキャリバー9Fへのニーズが変化し、オーセンティックなタイプだけでなく、スポーツモデルを求める声も増えました。今回の25周年モデルはそれに応え、可能性を広げるものです。もちろん精度やメンテナンス性などの“9Fらしさ”は変わりません。今後は新たな展開にも期待して欲しいですね」

■動いてはピシッと止まる!4本の針の動きが見応え充分

グランドセイコー
「SBGN001」(39万9600円)

キャリバー9Fの誕生25周年記念モデル。文字盤にはグランドセイコーでは初めてチャコールグレーとイエローを採用し、GMT表示の視認性を高めた。ケース径39mm。限定800本。

▼“GMT針”のスポーティ!

▲シックな文字盤は「GS9F」のパターンを型打ちした特別仕様。インデックスの造形も緻密だ

▼裏蓋の造形まで緻密

▲裏蓋には獅子の紋章とシリアルナンバーが入る

▼文字盤の仕上げが細かい!

▲端に蓄光材を塗布して視認性を高めたGMT針がスポーテ ィな印象を強調する

 

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