35周年のG-SHOCKは、もはやニッポンの伝統芸能【ニッポン発の傑作モノ】

「初めて出会えた本当に好きな時計がG-SHOCKでした」

 ▲落語家 柳家花緑さん 1987年に中学卒業後、祖父・五代目柳家小さんに入門。'89年に二ツ目、'94年には戦後最年少の22歳で真打に昇進し、柳家花緑へ改名。スピード感あふれる歯切れの良い語り口が人気で、古典から新作まで意欲的に取り組む。テレビや舞台でも活躍中だ

1990年代に起こった、G-SHOCKブーム。日本中が熱狂していた頃、花緑さんもこの時計と出合った。

「一番最初の記憶は、初期のイルカクジラモデルが渋谷で山積みされていた光景ですね。大ブームの直前くらいでした。でも半年後には、どこにも売ってない…。『あの時なぜ買わなかったんだ!』と後悔しましたね」

それ以前はスリムなクォーツウォッチなどを使っていたが、G-SHOCKを運命的に見つけてからは“ひと筋”だとか。

「最初に買ったモデルはよく覚えていないんです。流行の波に自分も乗った感じで(笑)。ただ、G-SHOCKと出合って『本当に好きなものが見つかった』と感じました。そこからはブレずにG-SHOCKです」

かれこれ30年近く購入し続けて、多い時には所有総数が100本を超えたこともあったとのこと。現在手元にあるのはその半分ほどだ。

「一番増えた時がちょうど断捨離ブームだったこともあって、これ以上買うの
はやめようと考えたんです。時計を着ける腕は1本だけですから。50本ほど売却して、残りの50本を大事に使うことにしました。今は1本ずつ収納できる台を購入して、そこに飾りながら使っています」

▲「ブームに乗っかっただけ」と笑いながら話すが、その後はG-SHOCKひと筋。革新し続ける姿勢を、自分の落語と重ね合わせている

選抜された顔ぶれは樹脂タイプが多く、カラーも多彩。普段のカジュアルな装いに合わせて、使い分けを楽しんでいる。

「仲間内のパーティーで着るスーツにも、黒い小振りなモデルを合わせたりしますよ」と、とことんG-SHOCKで通す。そんな中、今年また衝撃的な出合いが訪れた。新製品の「GMW-B5000D-1JF」である。

「デザインはオリジナルのままでメタルケースというのが、長年のファンには堪らなくて…。今はもう毎日着けていますね」

▲元々は「DW-6900」シリーズが好きだったそうだが、ファンからのプレゼントをきっかけに「DW-5600」シリーズもお気に入りに。「スリムで腕に馴染む」ことから、カラーを豊富にそろえて、その日のファッションに合わせて使い分けている

 

「35年経っても進化し続ける姿が落語の刺激になる」

最近は、G-SHOCKと現在の落語との共通点に思いを巡らせている花緑さん。落語における古典と新作の構図は、時計史のG-SHOCKの歩みと重なるとも考えている。

「落語は古典芸能という認識がありますが、実はまだ歴史が浅い芸能と言えます。人間国宝に選ばれたのは私の祖父が初めてで、歴史を語られるようになったのはこの何十年のこと。G-SHOCKも機械式時計からすれば歴史が浅く、時計の歴史に逆らうかのような“落としても壊れない” コンセプトから “大逆転劇”が生まれたわけで。『自分が今誰に向けて落語を発信すべきか』と考えることは、現代の時計づくりにも通じるのではないかと思っています」

真打に昇進した頃に出合ったG-SHOCKは落語と向き合う歴史を共に歩んだ相棒で、刺激を与えてくれる存在だとか。

「祖父が80歳の時に『芸人はずっと上り坂がいい』と言ってました。上りでなくなると、自分が落ちてきたことを実感するからです。常に今が最高ではないと思っていたいんです。G-SHOCKはそこで背中を押してくれる存在でもあります。35年経ってもまだ進化するのか、こんな機能が加わるのか、と感じることが、自分の芸にとっていい刺激になるんですよ」

 

■懐かしくて新しい初代5000系の進化系

▼「G-SHOCK GMW-B5000D-1JF」

「DW-5000C」をベースにフルメタル化を実現。コアテクノロジーである中空構造を見直した新耐衝撃構造に加えて、Bluetoothや6局受信の“マルチバンド6”、ソーラー充電などに対応。新時代の機能性も兼ね備えている。ケース径43.2mm、価格6万4800円

 

▼「G-SHOCK GMW-B5000-1JF」

「B5000D」同様に初代の意匠をメタルケースとウレタンバンドで再現した。液晶は反転仕様。スマホ連携や“マルチバンド6”など機能も充実する。ケース径43.2mm、価格5万4000円

 

▼「G-SHOCK DW-5035D-1BJR」

35年の歴史におけるマイルストーンを再現した「ORIGIN GOLD」の1本。ロゴやボタンなどにゴールドをあしらい、スペシャルな装いに仕上げた。ケース径42.mm、完売品。

 

▼「G-SHOCK GW-5035A-1JR」

宇宙誕生時の無を表現した「BIG BANG BLACK」。粒子を混ぜて光沢を抑えた特殊塗料を施す。 “マルチバンド6” や “タフソーラー”に対応。 ケース径42.8mm、完売品。

 

▼「G-SHOCK グレイシア ゴールド DW-5035E-7JP」

イルクジモデルなどで人気だったスケルトン仕様の最新版。インナーケースや
文字盤の金色が透明度の高い樹脂ケースと相まって煌びやかな印象だ。ケース径42.8mm、完売品。

 

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(取材・文/髙橋 智 写真/湯浅立志<Y2>)

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