デジタル&生活家電の達人が振り返る!2018年の傑作品と注目トピックス

■簡単操作で美味しい料理が作れる調理家電が人気

神原:最近は調理家電も単機能でシンプルな製品がどんどん出てきてますよね。

西田:お父さんが週末に腕をふるいたくなる家電が増えてます。全く料理ができない僕の友人が、シャープの「ヘルシオホットクック」を買ったら急にカレー作りにハマり始めましたよ。

神原:私はそういう家電を “オレ家電” と呼んでます。昨年の製品になりますが、パナソニックの「ロティサリーグリル&スモーク」もまさにそんな家電。ブラウンのブレンダーやシャークの掃除機も同じ感じで、男性ウケがいい家電なんです。モノから入って家事を手伝うようになるのも、今ドキの流れなんじゃないかと思います。

西田:アメリカでは安い肉を低温調理ツールで美味しく調理するのが流行しているんです。スマホで温度管理とかしながら。

神原:調理家電では炊飯器で面白い動きがありましたね。土鍋を利用したシロカの「かまどさん電気」が話題になりましたし、個人的には象印の「炎舞炊き」に驚きました。南部鉄器の内釜にこだわってきた象印が、新しい内釜を採用したのは意外でしたが、確かに美味しいんです。この「炎舞炊き」に最適化したブレンド米を提案しているのも新しい。

西田:低温調理器も安い食材を美味しく作るのに向いています。調理に詳しい人ならその方法を知ってるでしょうが、それを家電で手軽にできるというのが、新しい動きなんだと思います。

神原:シャープはが始めた「ヘルシオデリ」というサービスも似ているかもしれないですね。その調理家電に最適な食材まで提供してくれれば、本当に楽に美味しい料理が食べられますから。ツインバードのコーヒーメーカーも同じ発想ですね。

西田:そういったサービスまで関連づけていくのは、デジタル家電がソフトウェアで差別化していくところと通じてますね。

▼オトコの料理に欠かせない “オレ家電”

従来の何でもこなせる家電ではなく、単機能ながらこだわりの用途に向いた家電が徐々に増加。特に男性に人気で、神原さんは “オレ家電” と呼んでいる。昨年発売のパナソニック「ロティサリーグリル&スモーク」もそのひとつで、これらをきっかけに家事に参加する人も増えている様子だ。

▲パナソニック「ロティサリーグリル&スモーク」

 

▼独自路線にこだわる調理家電が台頭

従来からある製品ジャンルの中で、独自機能で味にこだわる家電が登場。シロカの「かまどさん電気」は、土鍋を使った電気炊飯器ということで注目を集めた。名店の味を再現したツインバードのコーヒーメーカーも話題になった。

▲シロカの「かまどさん電気」

 

■これからのキーワードは「使いこなさない」家電?

神原:家事関連では、掃除機のシャーク上陸が大きな話題になりましたね。機構的にも男性ウケしそうです。ロボット掃除機では低価格の「ルンバe5」が売れているようです。

西田:ロボット掃除機は細かく考えるとコスパがよくないと思うんですよね。バッテリー寿命だったり手入れの手間を考えると。でもあの価格帯ならいいかなと納得できます。

神原:この辺も機械を使いこなせない人に向けて、こなれた音声対応にしていくといいですね。

西田:僕は最近家電などを「つかいこなす」と謳わないようにしようと言ってるんです。複雑な機能まで使うのは大変だけど、1個か2個便利なだけで十分役立つはずです。でも何が便利かは人によって違う。それを引き出すのが、スマートスピーカーでの音声操作だったり、AIであるべきだと思います。

神原:確かに来年はそういう方向性を期待したいですね。

▼海外勢の勢いが目を引く掃除機市場

ここ数年でロボット掃除機やスティッククリーナーに人気が集まる中、今年話題を集めたのが海外メーカー製品。日本に初めて上陸したシャークや低価格帯モデルを投入したルンバの勢いが目立った。

▲「ルンバe5」

▲今年日本に上陸して話題を読んだシャーク

 

▼購入後のサービスが家電の使い方を変える

シャープは自動調理鍋「ヘルシオホットクック」などで利用できる料理キット宅配サービス「へルシオデリ」をスタート。今後は家電をより活用してもらうために、購入後のソフト的なサービスも重要になってきそうだ。

▲シャープ「ヘルシオホットクック」

 

<西田さんが選ぶ2018年の傑作品>

グーグル
「Google Pixel 3」

AIを使ったカメラが優秀で、実際に撮影してみると明らかに違いのある写真が簡単に撮れます。画像認識による検索機能も便利です

 

ソニー
「WH-1000XM3」

音質やノイズキャンセリング機能が図抜けていい。頭へのフィット感もよく移動中も便利です。急速充電で長く使えるところもいいですね

 

アップル
「iPad Pro」

完全にノートPCの代わりに使える性能で、仕事で活躍しています。Apple Pencilの使い勝手やセキュリティー機能も高く評価しています。

 

<神原さんが選ぶ2018年の傑作品>

象印
「炎舞炊き NW-KA10」

内釜を刷新したのは驚きでしたが、かまどの炎の揺らぎまで再現したIHによる新炊飯方式で、本当に美味しいご飯が炊けます

 

ダイキン
「risora Sシリーズ」

スリムなデザインや他にないカラーが気に入っています。別売りの通信アダプターは内部に取り付け可能。機能も見た目もスマートです

 

ツインバード
「全自動コーヒーメーカー CM-D457B」

カフェ・バッハの味を再現するというアプローチに感心しました。ドリップの工程が見えるので、美味しさが五感に響く感じがします

 

ITジャーナリスト・西田宗千佳さん
フリージャーナリストとしてPC。デジタルAV、家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」を対象に国内外で幅広く取材。主に、各種機器や業界取材記事と個人向け解説記事を担当する。

 

家電+ライフスタイルプロデューサー・神原サリーさん
新聞社勤務、 フリーライターを経て、顧客視点アドバイザ一&家電コンシェルジュとして独立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」べく、家電分野を中心に 幅広い媒体での執筆や商品企画等を手がけている。

 

 

本記事の内容はGoodsPress1.2月合併30-33ページに掲載されています

 


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(取材・文/高橋智 写真/田口陽介)

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