■目標は「親よりも美しい子や孫の世代を育てること」
熱帯魚には何万もの種類があり、生態は多種多様。それらを飼育するスタイルも人それぞれだが、熱帯魚を愛するマリオ高野さんは、南米アマゾン川で採集される小型魚、アピストグラマを飼育し、繁殖させることを主に楽しんでいる。
「つい2~3カ月前までアマゾン川で暮らしていた野生の魚が自室の水槽にいること自体にまずロマンを感じますよね。はるか遠い地で生まれ育った野生の魚を日本の水に馴染ませ、本来の姿に育てるのが目的なんです。
目標としているのは “親よりも美しい子や孫の世代を育てること” です。ただ育てるだけならまだしも、野生の個体よりも美しい姿に育て上げるのはとても難しいんです。何年やっていても試行錯誤の連続です。そこに醍醐味を感じますね」
どんな魚でも、本来の姿を発揮させるには、その魚が生まれ育った環境に近い環境を再現してあげることが重要という。
「家の水道水を、アマゾン川の水に近付けることが成功のカギになります。ただアマゾン川には無数の支流があり、場所によって水質も大きく異なります。その点は専門誌やショップなどから情報を得て、飼育する魚が暮らす水質を把握し、再現していくんです。そういった水質管理も楽しみのひとつですね」
一方、水槽のレイアウトはいたってシンプルな構成だ。
「繁殖がメインなので、デザイン性を意識したレイアウトにはしていないんです。アピストグラマは小型魚なので、幅30cm程度の小型水槽でも育てられ、数が増えても対応しやすいこともポイントですね」
まだ納得できる繁殖は実現できていないというマリオさんだが、時として会心作が育つこともあるという。それが安定して再現できるようになるまで、探求の日々は続きそうだ。