「衝撃的でした。キャンプ道具=緑と思っていたのに、僕が大好きな赤い道具があったのですから。たしか2万円で出品されていて、すぐに落札しました」
ここから金子さんのランタン収集が始まる。まずは赤ランタンを物色。そこからいろいろな色、さまざまな年代のモデルを集めるように。気付けばその数は100本近くに達した。
おもしろいのは収集を始めてからも金子さんはまったくキャンプに出かけていないこと。純粋に “モノ” としての魅力に引き込まれたという。
「もともと収集癖があり、コンプリートしていないのが妙に気持ち悪いんですよ。赤ランタンも年代により形が異なります。それを全部揃えるためにいろいろ物色しましたね」
オークションだと中には状態が悪いものもある。今度はパーツを探したり、同じ型のランタンをもうひとつ仕入れて部品を継ぎ足したりするように。室内でランタンに灯を入れると一酸化炭素中毒になりかねない。金子さんの実生活ではランタンを使う機会がないのに、いつでも使える状態にしていたという。
「キャンプに行こうとは微塵も思わず、どんな灯りか想像しながら修理するのを楽しんでいました。コレクションのいくつかをLED仕様に改造して自宅で使えるようにもしましたよ」
やがて金子さんはバースデーランタンやビンテージランタンも集めるように。
「ランタンの魅力を一言で表すなら、ロマンでしょうか。1世紀前の道具でも灯りがついたり、同じように見えても時代に合わせて少しずつ変化していたり。だからこそ集めていくのが楽しいのだと思います」
■思い入れの強いランタンコレクション
希少価値の高いもの、自分にとって特別なもの…、数多あるランタンの中でもこだわりのあるものを教えてもらった。
▼偽物も数多く出回るマニア垂涎の希少品
コールマン
「200Aゴールドボンド」
アメリカのスタンプ会社である「ゴールドボンド」が景品としてコールマンに黄色いランタンの製造を依頼したもの。流通量が圧倒的に少ないため、状態のいい本物は高値で取引されている。
▼このモデル専用のグローブが貴重なランタン
コールマン
「イージーライト331」
コールマンのランタンはガラスグローブを他のモデルと供用できるが、「イージーライト331」だけはNo.990という専用グローブを使用する。これはカナダモデルでハンガーが縦についているのが特徴。
▼特別な思い入れがあるバースデーランタン
シアーズ
「476」
コールマンはランタンをアメリカのデパート「シアーズ」にOEM供給していた時期がある。金子さんが生まれた1964年7月だけはコールマンブランドでランタンが製造されておらず、これを苦労して探した。
▼赤ランタンの人気を再確認させられたモデル
コールマン
「286A」
金子さんのコレクションの中では新しい部類に入る1989年3月に製造された「286A」の未使用品。現行モデルの「286A」とはベンチの高さなどが異なる。久しぶりに発売された赤ランタンということで人気が高い。
▼ビンテージ感溢れるガソリンランタン
コールマン
「5101 AIR-O-LITE」
ランタンをコレクションし始めた18年ほど前、金子さんはガスランタンも物色していた。現在とは形状が違うガスカートリッジは味がある。製造年は不明。カートリッジはすでに生産終了している。
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本記事の内容はGoodsPress3月68-69ページに掲載されています
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(取材・文/高橋満<BRIDGE MAN> 撮影/阿部昌也)
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