文房具は職人技とコダワリの宝庫です!【CRAFTSMANSHIP】

■文具は常に進化して使いやすくなっている。メーカーのこだわりをリスペクト!工夫してくれてありがとうと言いたい(高畑さん)

きだて:次は僕から。実はここ4~5年で万年筆を使い始めたビギナーなんですが、今のところ一番これすごいと感じているのがプラチナ万年筆の「プロシオン」。普通の万年筆ってペン先の根本にインク吸入口が付いてるので、首の部分までインクに漬けなきゃいけない。そうするとインクを入れ替えるたびに拭いたりして面倒くさいんですが、「プロシオン」の吸入口はペン先のちょうど中間くらい。

▲インクを吸う作業がラクになった!プラチナ万年筆「PROCYON」

だから、ペン先の真ん中くらいまで漬けるだけ。ケアが楽だし、インクが少なくなった状態でも吸入しやすい。万年筆ってキャップしててもすぐにインクが乾いちゃうんですけど、スリップシール機構によって1年くらい放置してもペン先が乾かず書ける。何より嬉しいのはこれで5000円!

他故:そんな初心者に対し、やり過ぎた万年筆を出すことになりますが。パイロットコーポレーションの「カスタムURUSHI」です。やり過ぎなのは異様にでかいペン先。

▲比べるとこんなに大きさが違う!(左)「PROCYON」(右)パイロットコーポレーション「カスタム URUSHI」

高畑:プロシオンと並べると親子くらいの差があるよ。

きだて:初心者に対するマウンティングですね(笑)。

他故:大きいことで非常に柔らかくしなって、文字がサラサラと進んでいく。多分長くドライブしていたい良い車ってこういうことじゃないかなと。一番効果的だったのが年賀状ですね。50枚書こうが100枚書こうが苦にならないし、もっと書きたくなる。

あと、漆の軸のしっとりした感じを味わうと、他の樹脂軸が物足りなくなる。ここより上は、もう宝飾品とか工芸品とか飾る万年筆で、実用の万年筆としては人類の手に渡る最高級品だと思います。

高畑:実用品でいくと、このニチバンの「セロテープ小巻カッターつき」も進化しています。新商品はテープのギザギザの部分がすごく小さくなってほぼフラットなんですね。これにより見た目がキレイになって、ギザギザの谷の方からテープが裂けちゃうことが少なくなります。

でも製品の見た目は従来品とほぼ一緒なんです。気が付かないうちに見慣れたモノがいつの間にか進化してて。今はテープの先端を絵で表現する際、ギザギザを書くのは当たり前ですが、この製品が普及したら、やがて子供から「このギザギザって何?」って聞かれる時代が来るんじゃないかなと。

きだて:この小巻って、たぶん日本で一番使われてるテープカッターでしょ。それがついにフラットカットになった。この状況は震えるよ!

他故:消しゴムの進化も気づかれにくくて。サクラクレパスの「Arch」はスリーブっていう紙のケースの先端部分が丸くアーチ状になっています。消しゴムはスリーブの角に力がかかって、そこから折れてしまうことが多いんですね。正しく持てばここに力がかからず、持つところに滑り止め加工もされています。中に入っているフォームイレーザーという消しゴムは、消しカスが糸状にまとまるので、つまんで捨てやすい。リビング学習でも周囲を汚しにくい。

▲スリープの工夫で折れにくくなった!サクラクレパス「Arch消しゴム」

高畑:さらに微妙な工夫を挙げると、オートの「コンセプション」っていうシャープペン。側面に並んでいる丸い窓はダイアルを回すと色が変わるんですが、これは1回ノックしたときに出てくる芯の長さを表示しています。

▲1ノックで芯を出す長さが調節できる!オート「コンセプション」

きだて:僕がいつものシャープペンを使うときは、大体ノックを3回やってほんの少しだけ戻す(笑)。使う側がいちいち微調整する手間を機能で解決してくれるって、すごい便利ですよね。

高畑:これを製図用でない一般筆記用で出しているのが面白い。コクヨの「鉛筆シャープ」も面白くて、シャープペンの一個の欠点として芯を入れ替えるときにキャップを外すと、キャップか消しゴムがどこかいっちゃうことがある。これはそうならないようキャップがなくて、後ろに穴が開いていて、ここからダイレクトに芯を入れるんです。

でも、単に穴が開いてるだけなら、ひっくり返すとたまたま穴から逆流して芯が本体から出てくる可能性が万が一あるじゃないですか。それを絶対起こさないよう、通常分解できない場所に部品があって、芯を入れると開き、芯が本体の中を通り抜けると閉じている。

きだて:逆止弁だ!

高畑:ユーザーは単純な構造だと思っているけど、実は複雑な構造が隠されています。

▲見えないところに逆止弁パーツが!コクヨ「鉛筆シャープ」

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