■自分にフィットする文具は探せば見つかる。それってスゴイことだと思いませんか?(きだてさん)
きだて:ペン型ハサミも匠の技が生きている世界です。レイメイ藤井の「ペンカットプレミアム」は他社製品と違い、柔らかい樹脂のハンドルが出てきます。ハンドルがあることで、段ボールなども力をかけて切ることができる。僕はよく喫茶店で試作品作ったりすることあるんですが非常に便利です!
高畑:普通は作らないよ(笑)。
きだて:オルファの「ハイパーM厚」も最高。M厚は刃の幅が通常のカッター(S刃)に近くて厚みが大型のL刃に近い刃です。カッターで曲線切りや細工切りをする時、L刃だと小回りが効かない。でも、S刃だと段ボールを切る時に刃がしなって怖い。つまり、段ボールの曲線切りに最適!
他故:狭すぎねーか(笑)。
きだて:最近このM厚に滑りにくいハイパーXボディ版が出たんです。後ろに付いてる鉄の爪が万能で。段ボール開梱用のオープナーだけでなく、段ボールに折り線を付けるのにも便利だし、机の上に付いた塗装を削ったり、何なら首の後がかゆい時に孫の手としても使える。そしてついに、鋭角に研ぎ上げられた特専黒刃のM厚刃も登場!
高畑:きだてさんの考える最強カッターだね。
きだて:その通り。どこに出しても恥ずかしくないカッターです。よくぞ作ってくれた。ちなみに僕のカバンにはカッターマットも欠かせません。
他故:統一感あるなあ。
きだて:「折りたたみカッティングマット」には賢い工夫も。折り線が真っ直ぐではなく波状になっていて、刃が折り線に落ち込まずにまっすぐ切れる。カッターマットって刃も机も保護するもので、絶対使うべき製品。収納しやすいことで使いやすくなった。
他故:確かにまな板置かないで包丁使う人はいないわけで。きだてさんと同じく自分にフィットした文房具が、リヒトラブの「ドキュメントファイル」。こういうファイルって余計なものまで入れたままにして、整理するのが嫌になるくらい膨らんだりするんですが…。
でもこれだと、表紙のフタを折り返せばゴムバンドで閉じたまま中の書類を確認できる。透明な板で挟んで書類を保持しているだけなので薄くて持ち運びやすい。でも落ちない。側面が無いからクリアファイルもそのまま入れられる。タスク管理型の整理をしている私には便利なんですが、伝わりにくい。
きだて:自分のベストを追求するのは大事でしょ。僕はリングノートのリングが手に当たるのが嫌だから、上辺をリング留めしたA5ノートがいい。でも大好きなマルマンの「ニーモシネシリーズ」にはそんな製品が無い。無いなら自作ですよ。
リヒトラブの「ツイストノート」はルーズリーフのように開閉できる特殊リングを使っているので、ニーモシネのA5パッドを分解して専用パンチで上辺に穴を開けて、A6ノート用のツイストリングで綴じました。メーカーがいろんな技術をつぎ込んだ便利な製品を作ってくれてるからこそ、自分ベストなノートも自作できるんですよ。
高畑:先程に続き、きだてさんの最強のノートができたと。
きだて:自分の快適さのためには努力を惜しまない!
高畑:最後にこれだけ紹介したいのですが、セーラー万年筆の「フェアライン3プラスクリック」。見た目は普通の3色ボールペンですが、なんと本体の中によく使う黒色の芯の予備が入っているという。
他故:4色ボールペンにしなかったってすごいね。
高畑:そう! 4本入るスペースはあるけどあくまで3色。画期的なのに、見た目が奥ゆかしくて伝わりにくい!
今回思ったのが、3人とも文房具の楽しみ方が違っていて、他故さんは手触りだとか質感、きだてさんは自分に合うかどうか、僕はメーカーの工夫に惹かれている。
日本は、喫茶店で段ボール工作する人が満足できる文房具が揃うほど、選択肢が幅広い(笑)。だからこそ、こういうディテールや職人技を知らずに、なんとなくハサミやペンを選んだりするのはもったいないですよね。
本記事の内容はGoodsPress4月72-55ページに掲載されています
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(構成/津田昌宏 取材・文/サンシャイン岩崎 写真/宮前一喜<APT>)