ザ・ノース・フェイスの球体テント「ジオドーム4」。この画期的なテントは、日本で企画から開発まで行われたものだ。どこにあっても強烈な存在感を放つこのテントはなぜ生まれたのか。開発責任者の話を聞いた。
■「ジオドーム4」は “アートなテント”
「美しくアートなテントを作りたい」
ザ・ノース・フェイスでバックパックなどギア類の企画開発マネージャーを務める狩野茂さんがまず考えたことだ。
2018年春。ザ・ノース・フェイス新商品展示会の会場に突如現れた球体のテントは、たしかに美しかった。ほぼ “球” と言って差し支えない形状。立っているだけなのにあふれる存在感。しかし、誰もが思わず足を止めるそのテント「ジオドーム4」を見て、これがファミリー向けテントだと思った人がどれだけいただろうか。
大人2人と子供2人が寝られるサイズ。慣れれば簡単に立てられる構造。これらの機能性を聞くと、たしかにファミリー向けだと納得できるものばかり。しかし、その佇まいからは、ファミリーという言葉から最も遠い場所にあるモノに感じる。そう、まさに “アートなテント” なのだ。