■今夏はワクワクさせる「実力車」が勢揃い
今年に入り、国内外のメーカーから、走りやデザイン、操作性に新提案を盛り込んだモデルが続々登場。モータージャーナリスト岡崎五朗さんは、「その背景には、各メーカーの危機感がある」と分析する。
「今、自動車業界は、100年に一度という大変革の時を迎えています。さらにこの先、環境や騒音に対する規制は一段と厳しくなり、インターネットを始めとするIT分野との融合にも拍車が掛かることでしょう。実はそんな時代だからこそ『クルマ本来の魅力とは何か?』を、改めて見直す時期に来ています。
トヨタとBMWがスポーツカーを共同開発したり、マツダが凝ったデザインの新世代モデルを登場させたり、メルセデス・ベンツが従来の概念を打ち破るインターフェイスを打ち出してみたり…。そうした新提案は、各社の危機感の現れでもあるのです」(岡崎さん)
その結果、今夏は各社の意気込みを感じさせる、完成度の高いモデルが多数出そろった。
「ここに挙げた5台は、クルマにもまだまだ魅力があると感じさせてくれる実力車ばかり。新たな提案には発見も多く、ワクワクさせられます」(岡崎さん)
1. スポーツカー本来の魅力を味わえる最後の存在!?
トヨタ
「GRスープラ」(490万円~)
17年ぶりに復活したトヨタの旗艦スポーツカー。空気抵抗の低減が期待できる往年の名車「2000GT」譲りの “ダブルバブルルーフ” や、リアのランプ類を中央に寄せて配置した先代モデルを想起させるボディフォルムなど、同社製スポーツカーのDNAを継承している。
【プロが教える買いのポイント】
「今後の規制強化を考えると、電動アシストのないガソリンエンジンを積むスポーツカーとしては最後となる可能性も。BMWとの共同開発により生まれたエンジンは、4気筒、6気筒ともに気持ち良く回ります」(岡崎さん)
2. 雰囲気重視からリアルスポーツカーへ
BMW
「Z4」(566万円~)
話題のスープラと基本メカニズムを共用したオープンスポーツ。エンジンは197馬力の2L4気筒ターボと、340馬力の3L6気筒ターボを設定。ソフトトップは電動開閉式で、10秒ほどで開閉可能だ。
【プロが教える買いのポイント】
「先代モデルはオープン走行を楽しむ雰囲気重視のスポーツカーでしたが、ホイールベースを短くし、トレッド(左右タイヤ間の距離)を広げた新型は、まさにリアルスポーツカーへと変貌。刺激的な走りを楽しめます」(岡崎さん)
3. 楽しい走りのために車体の軽量化を徹底
アルピーヌ
「A110」(790万円~)
21年ぶりに復活したフランス “アルピーヌ” ブランドの新星。軽量化を徹底したアルミ製の車体と、エンジンをドライバー背後に搭載するミッドシップレイアウトの採用で、スポーツカーらしい走りを実現。
【プロが教える買いのポイント】
「現代に甦ったA110最大の武器は、なんといっても軽さ。最軽量グレードの車重は1110kgしかなく、ライバル・ポルシェ『ケイマン』の最軽量モデルより250kgも軽く仕上がっています。A110の軽快な走りは、まさにその恩恵です」(岡崎さん)
4. デザインだけでも買う価値あり!
マツダ
「マツダ3」(218万1000円~)
圧縮着火方式を採用した世界初のエンジン “スカイアクティブX” と並ぶマツダ3の注目は、印象的なエクステリアデザイン。ボディのサイドパネルが受けた繊細な光の動きでクルマに生命感を与えている。
【プロが教える買いのポイント】
「マツダのデザイン哲学 “魂動(こどう)-SOUL of MOTION” の流れを汲むフォルムながら、従来にない造形で、新しさを感じさせてくれます。美しさの中に、あえて違和感を覚える要素を盛り込み、人々の印象に残るカタチに仕上げています」(岡崎さん)
5. 気分はまるでSFドラマの主人公
メルセデス・ベンツ
「Aクラス」(328万円~)
話しかけることで各種操作を行える“MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)”が話題のコンパクトカー。エンジンは1.33L直列4気筒ガソリンターボと、2Lディーゼルターボを設定する。
【プロが教える買いのポイント】
「人工知能を駆使したMBUXは、音声でナビの目的地設定やエアコンの温度調整などを行える車載AIスピーカーで、SF映画の主人公気分を味わえます。学習能力によって日々成長していく点も、新しい提案ですね」(岡崎さん)
■ロードスターにGT-R、そしてスープラも!これも今っぽい賢い選択
▼旧車をレストアして乗るのも楽しい!!
進化の止まないニューカーに対し、「昔のクルマはよかった」という声があるのも事実。そんな声に対応してか、このところ出ているのが、各社の遺産である旧車=ヘリテージを大切にしようという動き。マツダは初代「ロードスター」のレストア事業を始めているほか、日産「スカイラインGT-R」やトヨタ「スープラ」の旧車でも、製造中止となっていたパーツ類が再生産される動きが出ている。最新モデルにはない魅力を持つ旧車をブラッシュア ップして乗るのも、大変革の時代らしい賢い選択といえそうだ。
マツダは、同社のアイコンともいうべき初代ロードスターのレストア事業を開始。また、ハンドルやアルミホイール、ソフトトップといったパーツ類を再生産して市場に提供するなど、クルマのある暮らしを楽しむための環境を整備している。
本記事の内容はGoodsPress8月号58-59ページに掲載されています
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(構成・文・写真/アップ・ヴィレッジ)
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