■デザイン大賞のシステム手帳は色合いが珍しく、リフィルの組み合わせが考えられています
デザインと機能の面から、その年に優れた文具に贈られるのが『日本文具大賞』だ。すでに発表されている優秀賞5製品ずつから、6月26日に大賞が発表された。これらはどこが優れていて、生活のどんな場面で役立つのか。それを探るには、日々たくさんの文具に囲まれているプロに聞くのが一番だ。
という訳で、文具をはじめ画材やデザイン用品の日本最大級専門店チェーンである『世界堂』の新宿本店、文具のスペシャリストである宮田まなみさんに受賞作品の数々を見てもらった。
「まず、デザイン部門グランプリに選ばれた「システム手帳」ですが、色合いがすごく女性向きでいいですね。従来のものはビジネス向けが多くて、男性主体に考えられたモノトーンが主流。カラフルな感じのものがありませんでしたから」
リフィルの種類が多く、その組み合わせで理想の手帳が作れるのも、受賞理由のひとつだ。
「これまでのシステム手帳もそのようにできていました。でもこれは、内容が女性向けに編集され、使いやすいように作られています。項目がよく考えられていて、ベースの色もピンク。この手帳のように華やかなデザインのほうが、モチベーションも上がって、“よし、仕事やるぞ!”ってなると思います」
機能部門グランプリ、プラチナ万年筆の『プロシオン』はどんな感想だろうか。
■プロシオンは、ステンレスのペン先でワンランク上の書き味を実現しているんです。
「実は私、万年筆のコーナーがメインで、文具全体を見ているような立場なんです。ですから、これが選ばれたのは嬉しいですね。売り場にも置いています」
ならば、実際に使ったこともあるのだろうか。
「はい、あります。とても書きやすいですよ。ステンレスのペン先は、普通、書き味が硬く感じるんですが、プロシオンはしなる感じがちょうどいいんです、お値段の割にはワンランク上というか。それにキャップにも工夫が凝らされているんです。スリップシール機構というのが付いています。万年筆は普通、放ったらかしているとペン先が乾いてしまいますが、この仕組みで、乾きにくいんです」
また、カラーリングが多いのも宮田さんが推す理由。
「アルミのボディなんですが、カラーが全部で5色あります。女性が持つことを意識したのかなと思う色もありますね。もちろん、ビジネスで持っていても大丈夫ですよ」
さすが万年筆コーナー担当だけあり、話に熱がこもる。
「コンクリートでできたボールペンは、店ではお取り扱いがないんですが、ジェットストリームの芯を使っているから、すごくペン先の走りが良いですね。たぶん、芯の太さも替えられるみたいですね。」
次に宮田さんが気になって手にしたのが「和紙ノートブック」。
「万年筆で書くと裏までインクが染みるかなと思ったのですが、そんなことはないですね。裏写りが少ない。それに、良い意味での引っかかりが心地良い。どんな筆記具を使っても書きやすいと思います」
「それから「パッとメモ」も画用紙のブロックみたいで面白いですね。今までありそうでなかったアイディアで、使いやすそうです」
結構気に入ったようだ。では「グロススティックマーカー」はどうだろうか。
「デザイン重視という感じで、グラデージョンがいいですね。フィルムが薄くて透けていますから、普通の付箋のように使うのではなく、書類や本の文字の上などに貼って、マーカーペンのように一部分を目立たせるために使うと、きっと役立つと思います」
文具は、毎年数え切れないほどの新製品が送り出される。その中から選ばれた受賞製品は、やはりどこか突出したものを持っているのだ。興味を持ったらお店に探しに行ってみよう。
文具、画材が何でも揃う世界堂 新宿本店
本格的な画材から、工作素材、ファンシー文具まで、数多くの商品を揃えている。また、それらの商品が安く、さらに世界堂カードを作るとお買い物券が出るので、次回の買い物が割引になる特典付き。有名画家や漫画家から美術学生に一般人まで、幅広いファンが集まる。
住所:東京都新宿区新宿3-1-1
営業時間: 9:30 ~ 21:00 無休(年末年始を除く)
電話番号:03-5379-1111
本記事の内容はGoodsPress8.9月合併号64-67ページに掲載されています
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(取材・文/松尾直俊 撮影/湯浅立志<Y2>)