■メンテを含め予算300万円は見ておきたい
【ハチロク】藤原拓海
主人公である藤原拓海の愛車であるAE86。「ハチロク」という愛称はあまりにも有名です。現在発売中のトヨタ86は、このモデルにインスパイアされた名であることは言うまでもありません。
1983年にデビューしたハチロクは、当時から走り好きの人たちの間で人気モデルでした。それが『頭文字D』に登場すると、社会現象になるほどのカルト的な人気になります。
トレノの3ドアはもともと中古車の玉数が少なめで(1980年代、人気があったのはリトラクタブルではないレビン)、さらに『頭文字D』の影響で中古車相場もうなぎ上りに。
現在、トレノの3ドアの流通量は全国で25台ほど。中古車相場も高値安定傾向です。デビューから30年以上経過し、しかも走り込んだものがほとんどなので、低走行や修復歴無しにこだわるとクルマ自体を手に入れることが困難に。
乗りたい人はまず信頼できるショップを探し、前オーナーがどのように手入れをしてきたかをショップと確認した上で価格に納得できたものを購入しましょう。また、次の世代にきちんと橋渡しするためにも自身でもメンテナンスに手を抜かず、しっかりクルマを作り込んでいってください。
<生産期間>1983年5月~1987年4月
<中古車価格帯>140万~400万円
<平均価格> 241.8万円
■500万円以上する中古車もざら
【FD】高橋啓介(赤城レッドサンズ)
1991年のデビューから10年以上製造されたFD。1997年10月まではアンフィニRX-7、その後はRX-7という車名で販売されていました。現在は合わせて180台ほどの中古車が流通しています。
ロータリーエンジンならでは走りはもちろん、その美しいスタイルに惹かれる人も多いはず。
流通しているものの多くはヘビーにチューニングされたもの。一方で状態のいい低走行車や最終のスピリットRなどは車両本体価格500万円以上するものも珍しくありません。
ロータリーエンジンという唯一無二のメカニズムを搭載するだけに、購入時はFDを熟知したショップかを見極めることが絶対条件です。
<生産時期>1991年12月~2002年8月
<中古車価格帯>130万~800万円
<平均価格>263.2万円
■希少車ながらお宝中古車も見つかる
【FC】高橋涼介(赤城レッドサンズ)
2代目サバンナRX-7(FC3S)は、現在流通している中古車のほとんどが1989年4月のマイナーチェンジ以降の後期型。流通台数は全国で約30台と、かなり少なくなっています。
ただ価格は高くなるものの、フルノーマル車やワンオーナー車など、年式を考えると奇跡に近い中古車も流通しているのにはビックリ!
FCは年式的にトラブルがあった際のパーツ入手が不安に。そのあたりの現状などをショップに確認しながら中古車選びをするといいでしょう。
<生産時期>1985年10月~1991年11月
<中古車価格帯>90万~330万円
<平均価格>147.3万円
■NAのATモデルも多く残っているかつてのデートカー
【S13シルビア】池谷浩一郎(秋名スピードスターズ)
ホンダ プレリュードやFFに変わったトヨタスプリンタートレノ(AE91/92型)とともにデートカーとして当時の若者から支持されたS13シルビア。中でもシルビアはその流線型デザインからシリーズ最大のヒットモデルに。
取り回しのいい5ナンバーサイズのFRモデル、さらにトップグレードのK'sはデビュー時に1.8Lターボ、1991年のマイナーチェンジ後は2Lターボを搭載し、走り好きの若者の心を捉えました。
5ナンバーFRスポーツターボという組み合わせはその後の日本車でなかなか現れなかったため、生産終了後もS13~S15シルビアの人気は衰え知らず。またアジアやオセアニアでも人気が高く、多くの中古車が日本から輸出される事態になり、現在では希少モデルとなってしまっています。
中古車流通量は約50台。そのうちK'sは半数ほどになります。
<生産時期>1988年5月~1993年9月
<中古車価格帯>50万~240万円
<平均価格>127.8万円
■台数減少により中古車相場は高値安定
【180SX】健二(秋名スピードスターズ)
当時の販売会社の関係から、1979年からシルビアにはガゼールという兄弟車が存在しました。180SXはもともとアメリカ向けに開発された240SXの日本向けモデルで、ガゼールの後継者的な位置付けに。
180SXは約10年に渡り製造され、とくにシルビアがS14にモデルチェンジして3ナンバーになってからは人気が一層高まります。
また、180SXの車体にS13シルビアの顔を移植した「シルエイティ」の人気も高まりました。もちろん『頭文字D』の作品中にも登場します。
180SXの中古車は110台ほど流通。こちらも海外での人気もあり相場は高値安定傾向です。
<生産時期>1989年4月~1998年12月
<中古車価格帯>60万~320万円
<平均価格>132.9万円
■25年ルール解禁で今後相場が上昇するかも
【S14シルビア】中村賢太(赤城レッドサンズ)
3ナンバー化したS14シルビアは、前期型(写真)と1996年6月以降の後期型でフロントフェイスが大きく異なります。ややのっぺりした前期型に対し、後期型はシャープな顔に。中古車市場でも後期型の方が人気が高くなっています。
ただ、シルビアは5ナンバーサイズであるべき! というユーザーも多いため、S13やS15に比べるとやや人気は落ちる傾向に。
S14はこれまでもアジア・オセアニアへの輸出がありましたが、今年からアメリカの25年ルールの対象になりました。現在は100台ほど流通している中古車が今後減少するかもしれません。
<生産時期>1993年10月~1998年12月
<中古車価格帯>50万~290万円
<平均価格>111.7万円
■少しでも多く日本に残したい名車
【R32GT-R】中里毅(妙義ナイトキッズ)、北条凛
バブル期の日産の技術の集大成であり、全日本ツーリングカー選手権(グループA)では無敵だったR32GT-R。ストリートでも『頭文字D』の舞台である峠、最高速系など、あらゆるシーンで圧倒的な強さを見せたモデルです。
2000年代、ワイルドスピードの影響などでアメリカでは日本車ブームが湧きおこります。しかしR32はアメリカでは正規で販売されておらず、また個人で輸入しようにも左ハンドル車が存在しないため登録できない(このあたり、アメリカは厳格なのです)。そのため、アメリカでR32GT-Rは幻のスーパーカーのような存在になりました。
それが2015年に25年ルールが適用されて解禁になると、アメリカに向けて多くのR32GT-Rが輸出されました。現在でも日本の中古車販売店には海外からの問い合わせが多く入るといいます。
その影響で中古車相場が高騰。ガレージ保管の低走行車という激レア中古車だと1000万円近くすることも珍しくありません。また価格応談となっている中古車も多くなっています(おそらく冷やかし防止でしょう)。
低価格帯も300万円は超えてくるので、どうしても乗りたい人はそれなりの予算を用意して探す必要があります。また、買った後もある程度お金をかけながらじっくり手入れをしたいところ。伝説の名車だけに、なるべくいい状態で後世に受け継ぎ、しかもそのクルマが日本に残ることを願います。
<生産時期>1989年8月~1994年12月
<中古車価格帯>250万~1000万円
<平均価格>378.1万円
■25年ルール適用を控え、市場から中古車が消えている!?
【R34GT-R】星野好造(パープルシャドウ)
日産は第2世代GT-Rのモデルチェンジを正常進化と捉え、クルマを熟成させることに力を注ぎました。R34 GT-Rは第2世代GT-Rの完成系となります。
25年ルールによる相場高騰の象徴的存在となったR32 GT-Rの動きにつられてR34も相場が高騰。その後、中古車流通量も激減しています。販売店と話をしていると、かなりの数の中古車が倉庫にしまわれているという噂も聞こえてきます。
現在、R34の流通量は全国で50台ほど。中古車相場もR35 GT-Rより高くなっています。中でも2002年の生産終了を記念して1000台限定で販売され、『頭文字D』にも登場するV・specII Nürなどは市場に出てくることすら滅多にないほど。
純粋にR34 GT-Rが好きで、いつか乗りたいと考えていたファンにはつらい状況に。残念ですがこの状況は今後も続いていくでしょう。
<生産時期>1999年1月~2002年8月
<中古車価格帯>500万~1980万円
<平均価格>855.8万円
>> いまだに人気!『頭文字D』に登場したクルマの中古車相場を調べてみた[後編]
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