■“語れる要素” を見出して満足感を得たい
「10万円以下の腕時計にとって、ライバルはもちろんスマートフォンになります。便利で生活必需品であるスマホの壁を超えないと、なかなか購入してもらえないのが実情です」
そんな中でも、確かな価値を感じられるモデルもある。歴史や機能、デザインの面で “語れる要素” があれば、実用性以上の満足度を得られる。
「各ブランドとも独自の策を講じて、新モデルをリリースしています。歴史をベースとするデザイン戦略を取るモデルなら、個性や正当性を語れるでしょう。また、デジタルに寄せて、新しい機能や価値観を提唱しているモデルも増えています」
流行を表面的に追った腕時計は、トレンドが去れば陳腐化してしまうこともある。篠田さんは「語れる要素がなければ生き残れないゾーンであることは間違いない」と指摘するが、逆に歴史などを背景に独自の価値を打ち出したモデルなら、長く愛用していけるはず。
手頃な価格帯のモデルこそ、確かな目で見極めて選ぶことで、満足感を高められるのだ。
時計ジャーナリスト 篠田哲生さん
男性誌の編集者を経て独立。多彩なジャンルに造詣が深く、専門誌からファッション誌まで幅広い媒体で執筆。時計学校を修了した実践派でもあり、時計関連の講演も行う
1. グローバルで支持されるスポーツモデルがコンセプトやデザインを一新して登場
セイコー
「セイコー 5スポーツ SBSA013」(3万4100円)
ルーツは1963年に誕生し、5つの先進機能で人気を集めた「セイコー スポーツマチック5」。現代的にスタイルを一新し、スポーツモデルを中心に、5つのコレクションで展開する。ケース径42.5mm、SSケース、自動巻き。
デザインやブレスの違いで、たくさんバリエーションがありますが、お勧めはグリーン×ゴールドのモデル。こなれた価格で最近目立っているカラートレンドを楽しめます。オリジナルは50年以上も前に誕生したモデルで、歴史を語れるメリットも大きいです(篠田さん)
2. 1970年代に一世を風靡したLEDウォッチが斬新なデザインのままに復刻
ブローバ
「COMPUTRON 98C135」(予価:3万800円)
1970年代後半からのデジタル時計ブームの中で異彩を放ったモデルが復刻。ケース側面のリューズを押すごとにLEDで時分、秒、月日などを順に表示する。ケースサイズW31.1×H40.3mm、SSケース、クオーツ。11月発売
現代の80年代的ファッションと相性がいい「コンピュートロン」は、大人が着けるとカッコいいデジタルウォッチ。アクセサリー感覚で楽しむ時計としては、今季のベストモデルでしょう。特にPVD加工を施したブラックモデルがお勧めですね(篠田さん)
3. 売り切れ続出の“メタルG-SHOCK”に手頃なコンビモデルが追加
カシオ
G-SHOCK
(写真右)「GM-5600-1JF」 (2万4200円)
(写真中)「GM-5600B-3JF」(2万6400円)
(写真左)「GM-5600B-1JF」 (2万6400円)
2018年に登場した35周年記念モデルの中でも特に人気が高かった、メタル仕様の「5600シリーズ」に樹脂素材とのコンビモデルが登場。持ち味の耐衝撃構造と軽さを両立させている。ケースサイズW43.2×H49.6mm、樹脂&SSケース、クオーツ。
G-SHOCKの中では、大人の日常使いと考えるとやはりお勧めはメタルタイプでしょう。「GM-5600B-1JF」をはじめとする今季の新作3モデルはサイズがいい。幅43.2mmという小ぶりなメタルモデルは大人の腕をスマートに飾ってくれます(篠田さん)
4. 海外セレクトショップで人気の時計に、日常使いに便利な機能をプラス
TIMEX
「ネイビー XL グリーン」(1万7600円)
ヨーロッパのセレクトショップで人気が高い「NAVI」をブラッシュアップ。ケース径を41mmに拡大して汎用性と視認性を高めると同時に、回転式ベゼルや10気圧防水などで実用性を高めた。SSケース、クォーツ。
大人が使うことを考えると、TIMEXはミリタリーを選ぶしかない。それがブランドのルーツや歴史に敬意を払うということです。ミリタリーの正統派モデルであれば、流行にも左右されにくく、価格を超えた価値があるでしょう(篠田さん)
5. 多彩なデバイスとつながる新感覚スマートウォッチが遂に発売
シチズン
「Eco-Drive Riiiver BZ7005-74E」(予価:4万9500円)
Bluetoothによるスマホとの連携に加え、物理ボタンでスマートスピーカーなど多彩なデバイスの操作やサービスとの連携も可能。光発電エコ・ドライブで充電不要なところも特徴だ。ケース径43.2mm、 SSケース、クオーツ。10月下旬発売
新しいもの好きなら、この新感覚のスマートウォッチは注目です。カスタムの範囲が広くて、便利さだけではないスマートウォッチの楽しみ方を提案しています。スマートウォッチ全盛期だからこそ、国産モデルを狙いたいところです(篠田さん)
>> 秋の新製品NEXTヒット
本記事の内容はGoodsPress11月号52-53ページに掲載されています
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(構成・文/高橋智)
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