■有機ELモニター採用テレビ、本命3機を徹底比較
有機ELテレビにも各社から4Kチューナー内蔵モデルが出揃い、まさに選びやすくなったこのタイミング。数多くの製品が存在する市場で最新フラッグシップモデルの特性はどう違うのだろうか。そして4K+有機EL以外の選択肢はないのだろうか?
1. 高画質にこだわってパネルを独自開発!
パナソニック
「VIERA GZ2000」
(55型/実勢価格:41万円前後、65型/実勢価格:63万円前後)
SPEC
●チューナー:BS4K・110度CS4K×2 /地上×3/BS・110度CS×3
●主な入力端子:HDMI×4/USBx3/ビデオ/光デジタル音声出力
●サイズ:144.6×90.7×31.0cm(スタンド含む)
●重量:約40.0kg(スタンド含む)
特徴1:自社組み立ての有機ELディスプレイ
有機ELパネルは各社とも完成品を使うことがほとんどだが、本製品の「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」は有機ELセルと選定パーツを使い独自素材・構造で組み上げた自社開発内製ディスプレイ。高コントラストな映像はワンランク上の世界を見せ、画質面での評価が高い。
特徴2:迫力のサウンドを楽しめる!
センタースピーカーを含めた3.2ch構成に加え、天井方向に向けて設置された2chイネーブルドスピーカーをテレビ一体型として世界初搭載。Dolby Atmosにも対応し、音を天井に反響させることで、高さ方向の音表現が可能な立体音響をテレビ単体でも楽しめる。テクニクス製品開発陣が音質面チューニングを担当したTuned by Technics仕様なのも見逃せない。
2. 全録にも対応したプロ仕様レグザ
東芝
「REGZA X930」
(55型/実勢価格:25万円前後、65型/実勢価格:43万円前後)
SPEC
●チューナー:BS4K・110度CS4K×2/地上×9/BS・110度CS×3/4K放送対応「スカパー! プレミアムサービス」チューナー×1
●主な入力端子:HDMI×7/USB×4/ビデオ/光デジタル音声出力
●サイズ:144.7×84.6×26.7cm(スタンド含む)
●重量:47.5kg(スタンド含む)
特徴1:新世代のパネル&映像処理エンジン
最新のスペックを反映した2019年仕様新世代有機ELパネルに加え、新開発された映像処理エンジン「レグザエンジンProfessional」を採用。さらなる高画質を実現しただけでなく、映像制作現場にも対応できるレベルのプロユース映像分析・設定機能を搭載し、自分の好みやこだわりに合わせた設定で楽しめるようになっている。
2. 見逃した番組をあとから見られる!
USBハードディスクを繋げば4K番組が予約録画できるのは各社共通だが、レグザ独自のタイムシフトマシン機能は事前の予約録画は不要で、過去番組表から気になる番組を選んで見られる全録スタイル。録りためたたくさんの番組から好みの番組が自動でおすすめされる、新開発された「AIレコメンド」を採用した「みるコレ」にも対応する。
3. 大型サイズならではの大迫力映像!
ソニー
「BRAVIA A9G」
(55型/実勢価格:33万円前後、65型/実勢価格:53万円前後、77型/実勢価格:110万9000円前後)
【SPEC】
●チューナー:BS4K・110度CS4K×2/地上×2/BS・110度CS×2
●主な入力端子:HDMI×4/USB×3/ビデオ/光デジタル音声出力
●サイズ:172.1×100.1×30.2cm(スタンド含む)
●重量:39.7kg(スタンド含む)
特徴1:大迫力の映像が迫る77V型!
有機ELテレビのサイズ展開は65Vおよび55V型というメーカーが多いが、ソニーのフラッグシップ機である「A9Gシリーズ」ではさらに大型の77V型も展開。せっかく最新の4Kテレビに買い換えるなら従来よりドーンとサイズアップしたい! という人には魅力的な選択肢となる。
特徴2:画面そのものがスピーカーに!
テレビ背面に新開発のアクチュエーターとサブウーファーを内蔵し、別体スピーカーではなく画面そのものから音が出ているような体験ができる独自技術「アコースティック サーフェス オーディオプラス」を採用。被写体の位置に合わせて人物が喋っているかのような、定位感のある音を楽しめる。
■三者三様の特徴をもつ
映像の美しさ、特に黒表現の締まりと視野角の広さが特徴の有機ELテレビ。以前は液晶テレビとの価格差が大きく、手を出しづらかったが、現在ではその差もかなり縮まっており現実的な選択肢となってきた。実際に量販店の売り場で見比べてみると、コントラストに優れた映像は有機ELがやはり優位で、残像も気にならず選びたくなるはずだ。
テレビ選びでまず気になるのは、やはり画質だろう。現在の有機ELテレビは多くがLGディスプレイ製の完成品有機ELパネルを採用しているが、映像処理エンジンは各社やモデルで異なるため、実際の画質と印象はかなり変わってくる。
パナソニックの「GZ2000」は、有機ELセルを自社工場で組み立て、その性能に最適化したDotContrastパネルコントローラーProで制御。有機ELの特性である自然光ならではのコントラスト表現を追求し、明るいシーンでより高コントラストな映像を実現した。実際に画質の評価も高いのだが、さらに自社生産の独自パネルといわれると物欲を刺激される人も多いのではないだろうか。
東芝の「X930」は、新世代有機ELパネルと、新映像処理エンジンのレグザエンジン Professionalを採用し、さらに多彩な映像分析・設定機能を搭載。レグザProの名のとおり、プロの映像処理現場でも使える仕上がり。また、全録スタイルのタイムシフトマシンを搭載しているのも特徴だ。
ソニーの「A9G」は、映像エンジンにX1 Ultimateを採用したフラッグシップ機。前出の2社と異なり77V型も選べる3サイズ展開で、65V型では物足りないという人にとっても候補となるだろう。なお同社の有機ELテレビには「A8Gシリーズ」もあるが、4Kチューナー非搭載のため、使い勝手で「A9G」のほうがおすすめだ。
このように有機ELテレビは魅力的だ。しかし最低サイズが55V型からと大きく、設置環境で手を出しにくい人もいるだろう。その場合は液晶テレビが選択肢になる。こちらも大いに進化していて4Kチューナーを内蔵した現行機に買い換えればその画質に驚かされることは間違いない。三菱電機の「RA2000シリーズ」は4K番組がHDD録画できるうえ、そのままの4K画質でBDダビングできるレコーダーが内蔵されており、シンプルな使い勝手が魅力だ。
なお、4Kチューナー非内蔵の4Kテレビを買ったばかりなら、単体4Kチューナーや4Kチューナー搭載のレコーダーをつなぐのも方法のひとつである。
▼日常的な使い勝手に優れる実力派
三菱電機
「RA2000」(40型/実勢価格:24万円前後、50型/実勢価格:28万円前後、58型/実勢価格:37万円前後)
SPEC
●チューナー:BS4K・110度CS4K×2/地上×3/BS・110度CS×3
●主な端子:HDMI×3/USB×2/ビデオ/光デジタル音声出力
●サイズ:130.2×89.7×38.2cm(スタンド含む)
●重量:33.2kg(スタンド含む)
特徴1:4K番組をディスクに保存
録画用HDDだけでなくBDレコーダーも内蔵した4Kテレビ。録画した4K番組を画質を落とさず4KそのままでBDへダビングできる。もちろん各種ディスクをテレビ単体で再生できる。大切な番組はディスクで残したいけど別体レコーダーは面倒、家族も使うのでシステムはシンプルに!という人に最適。
特徴2:使いやすい4K液晶
最新のテレビといえば有機ELという流れは強いが、そもそもバックライトがないという構造のため過去には輝度が抑えめの製品も存在し、明るく外光が入るリビングなどではあえて液晶のほうが見やすい場合もあった。また有機ELは大型画面しか用意されず、設置スペースから中型サイズを求めるなら現実的ではない。本製品は40V型から用意され、幅広い層にマッチする。
▼いまのテレビを4K対応にアップグレード!
ソニー
「BRAVIA DST-SHV1」(実勢価格:6万300円前後)
BS4K・CS4Kチューナーを2基搭載。4K対応パネルを採用したテレビにHDMIで繋げば4K番組の視聴と裏番組録画ができる単体チューナー。各社テレビで使えるが、ソニー・ブラビアと組み合わせればブラビアリンクで連携し、ひとつのリモコンで快適に操作できる。
▼世界初の8K対応有機ELテレビが登場!
LG SIGNATURE
「OLED 88Z9PJA」(88V型/実勢価格:330万円前後)
ようやくやってきた4K時代だが、 LGエレクトロニクスはその上を行く8K映像に対応した世界初の有機ELテレビを発売。サイズも有機ELでは世界最大となる88V型で、4Kの4倍となる解像度は圧倒的な高画質。最上の映像体験が欲しいならこれ!
>> 【特集】買って正解大賞
本記事の内容はGoodsPress12月号22-25ページに掲載されています
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(文/大坪知樹 写真/木村真一)