次世代のキーワード“CASE”を実現する注目モデル8選【買って正解大賞】

Q:これからのクルマのトレンドは?どんな技術を搭載したクルマが出てくるの?

少し気が早いけれど、2020年から再来年にかけてのデビューが予定されている、先端技術を搭載したニューカーの情報も押さえておきたい。近未来のクルマって、どんなところが進化しているの? 今から貯金を始めておいた方がいいかな?

【回答者】

モータージャーナリスト
岡崎五朗さん
青山学院大学 理工学部 在学中から執筆活動を開始。鋭い分析力を活かし、多くの雑誌やWebサイトなどで活躍中。テレビ神奈川の自動車情報番組『クルマでいこう!』のMCとしてもお馴染みだ

 

A:東京モーターショー2019で発見 “CASE”の技術革新を実現した8台に注目

近未来のクルマや、自動車業界を語る上で外せないキーワードが “CASE”だ。

「CASEとは、C=コネクテッド、A=自動運転(オートオマス)、S=シェアリング、E=電動化(エレクトリック)の頭文字をとった造語です。100年に1度といわれる業界の大変革期を、どのように乗り切るか。自動車メーカーは生き残りをかけ、CASEへの対応にアクセルを踏んでいます」と語るのは、モータージャーナリストの岡崎五朗さん。

東京モーターショー2019に展示されていた市販予定モデルも、多くがCASEへの対応をアピールしていた。

「トヨタ『ヤリス』やホンダ『フィット』への採用でも明らかなように、コネクテッドは小型車でも当たり前の装備になりました。さらに東京モーターショーでは、マツダや日産、ホンダなどが、電動化への新たな取り組みを発表。自動運転に関しても、スバルから新しいトライがアナウンスされました。こうした動きは今後、ますます顕著になりそうです」

技術革新や発想の転換で、身近な存在となりつつあるCASE対応モデル。東京モーターショー2019で発見した8台は、次なるカートレンドを語る上で絶対に見逃せない!

 

1. 日本向けには発電用のロータリーエンジン搭載モデルもあり!?

マツダ
「MX-30」

マツダ初の量産EV(電気自動車)。電動化技術 “e-SKYACTIV(イー・スカイアクティブ)” を搭載し、EV特有の違和感を払拭した自然な走りを実現した。「今回発表されたピュアEVは欧州仕様。日本向けには、発電用ロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダーEVやハイブリッド仕様も用意されるといわれています」(岡崎さん)

▲コルクなどの自然素材や、ペットボトルからの再生生地を用いたインテリア。浮き上がったかのようなフローティング式センターコンソールの採用で、開放感は上々だ

▲かつてのロータリーエンジン搭載車「RX-8」から継承した、前後ドアが観音開きとなる“フリースタイルドア”を採用。センターピラーがなく、前後席ともスムーズに乗り降り可能だ

▲バッテリー容量は35.5kWhで、満充電での航続距離は約200kmとされる。イマドキのEVとしては短いが、バッテリー製造時に出る二酸化炭素を減らす目的から決定された容量だ

 

2. “みちびき”の情報を活用してハンズオフ走行を実現

SUBARU
「レヴォーグ プロトタイプ」

人気のステーションワゴン「レヴォーグ」の2代目モデルが予告された。新世代プラットフォームに新開発の1.8L水平対向直噴ターボエンジンを組み合わせるなど、根本から一新。「さらに、高精度マップで高速道路の形状を把握し、GPSと準天頂衛星 “みちびき” からの情報で補間を行うことで、渋滞時のハンズオフドライブを実現する見込みです」(岡崎さん)

▲新デザインコンセプト“BOLDER”を採用したエッジの効いた外観

▲コンセプトカ ー「ヴィジヴ・ツアラー・コンセプト」のイメージを巧みに落とし込んでいる

 

3. 航続距離は現行車比30%アップ!燃料電池システムを一新

トヨタ
「MIRAI コンセプト」

日本初の量産燃料電池車も次世代型が公開。水素を空気中の酸素と化学反応させて発電した電気で走る、という機構は不変。その上で新型は、ダイナミックで美しいルックスと、走る楽しさを追求した。「燃料電池システムの一新と、容量を拡大した水素タンクで、航続距離の30%向上を目指しているほか、水素充填時間の短縮にも挑戦しているようです」(岡崎さん)

▲TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)プラットフォームの採用で、デザインと走りを革新

▲燃料電池システムも一新される

 

4. 「リーフ」に続くピュアEVはツインモーターで走りが凄い!

日産
「アリア コンセプト」

SUVスタイルのピュアEV。運転支援システム “プロパイロット2.0” を搭載し、高速道路の同一車線内におけるハンズオフ走行を実現。「高出力モーターを前後に配置した “ツインモーター 4輪制御システム” の採用がポイント。鋭い発進や加速を実現するほか、ステアリングやブレーキと統合制御することで、滑りやすい路面でも優れたトラクション性能が期待されます」(岡崎さん)

▲ツインモーター 4輪制御システムを搭載するテストカーで、走行性能の飛躍的な向上を実感。デザインはかつての「ムラーノ」を想起させる個性的なものだ

 

5. 街の風景を一変させそうなキュートなピュアEV

ホンダ
「e(イー)」

EV専用プラットフォームに、キュートなボディを組み合わせた新生モデル。満充電での航続距離は約200km以上とされている。「モーターでリアタイヤを駆動するので、走りの楽しさも期待できます。コンパクトなボディサイズでありながら、ロングホイールベースと短いオーバーハングを実現しているので、乗り心地や街中での取り回しも良さそうですね」(岡崎さん)

▲親しみやすく愛着のわくデザイン

▲ポップアップ式ドアハンドルや、サイドミラーの役割を担う“サイドカメラミラーシステム”など、先進機能を多数採用する

 

6. 駐車する際の運転支援やコネクテッド機能も充実

トヨタ
「ヤリス」

走る楽しさ、世界最高レベルの低燃費、先進の安全技術といった欲張りな要素を、1台に凝縮した次世代コンパクトカー。シャーシ、パワートレーンともに一新したほか、ハイブリッド仕様にはトヨタのコンパクトカーとして初めて、 “E-Four(電気式4WDシステム)”を設定した。

▲「 “アドバンスド・パーク” は、ハンドルに加えてアクセルやブレーキも制御し、駐車時に必要な操作を支援してくれます」(岡崎さん)

 

7. 高性能ハイブリッド機構と安全性の高さに注目

ホンダ
「フィット」

大ヒットモデルの「フィット」が、間もなく4代目へと進化。新発想のフロントピラー構造を採用することで、視界の良さと安全性を両立。さらに進化した安全運転支援システム “ホンダセンシング” を全グレードに標準装備し、安心で快適なドライブをサポートしてくれる。

▲「小型化された2モーターハイブリッド機構 “e:HEV” は、多くのシーンをモーターのみで走れるため、優れた燃費を期待できます」(岡崎さん)

 

8. 軽自動車×EVメカの新時代シティコミューター

日産
「IMk」

“スーパーハイト軽ワゴン”「デイズ ルークス」の次世代モデルを想起させるコンセプトカー。“プロパイロット2.0” をより進化させた次世代型運転支援システムを搭載し、パワートレーンにはEVシステムを採用するという。コスト面で制約の多い軽自動車のEVが誕生するか、興味は尽きない。

▲「パワートレーンの詳細は不明ですが、日産は中期経営計画で『軽自動車のEVを発売する』としているので期待が持てます」(岡崎さん)

 

>> 【特集】買って正解大賞

本記事の内容はGoodsPress12月号54-55ページに掲載されています

 


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(取材・文・写真/アップ・ヴィレッジ)

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