■“厚底”だから速いわけではい
記憶に新しいのは今年の箱根駅伝。ピンク色、またはグリーンとオレンジの2色が配されたシューズを履いた選手が新記録を叩き出す。ナイキの厚底シューズ「ナイキズームエックスヴェイパーフライネクスト%」がもたらした結果は、普段陸上に興味がない人の注目も集めた。
「厚底シューズといわれていますが、あれは衝撃を吸収する厚底に反発力をもたらすカーボンプレートが入ることにより、効果をもたらしているものです。厚底だけの効果ではありません」
そう語るのはマラソン完走請負人の牧野仁さん。
「ただし、どんな人が履いても速くなるものではなくて、インナーマッスルや太ももの裏側の筋肉を上手に使わないと効果が出ません。効果を出している選手は中距離などハイスピードのレースを経験している人が多く、内蔵されているカーボンプレートをしならせるような走り方が必要になります」
ランニング界を席捲している厚底シューズだが、一般のランナーはその恩恵に預かれないのだろうか?
「そんなことはありません。ナイキの中に一般の人でも効果を感じられる厚底もありますし、他ブランドのシューズもいろいろなアプローチで厚底シューズを発表しています」
国際レースでは “禁止すべし”などの声もあがっているが、この流れを受けて各社が新たな厚底の開発を進めているのも事実。ユーザーとしては今後も厚底の恩恵にあずかりたいところだ。
1. “箱根” でその威力を発揮、ナイキの最新シューズ
ナイキ
「ズームX ヴェイパーフライネクスト%」(3万250円)
体に優しい衝撃吸収とスピードを生み出す反発性、相反する要素を両立させたシューズです。万人が使いこなせるものではありませんが…(牧野さん)
厚みのあるナイキ ズームX フォームの内部にカーボンファイバー製プレートをイン。このプレートがしなることで爆発的な推進力を生み出す。足を包むアッパー素材は、水分の吸収を抑える特殊素材を採用し、レース後半まで快適に走ることが可能だ。
2. 初めて履く“カーボン入り”に最適なシューズ
ホカ オネオネ
「カーボン X」(2万6400円)
足が自然に前に出てしまう足運びが良いソール形状+カーボンファイバープレートがポイント。安定感があるので、色々なレベルの人が履けます(牧野さん)
ミッドソールに内蔵されたカーボンファイバープレートと独自のメタロッカー構造とのコンビネーションにより、推進力と反発性を生み出す。アッパー素材は軽量でサポート力が強い上に通気性が高い。
3. カーボン製作に定評があるメーカーが手がけた日本製シューズ
ヨネックス
「セーフラン100」(1万6500円)
さすがに長年カーボンを取り扱ってきたメーカ―だけあって完成度が高い。“脚に優しい”というコンセプトは万人におすすめできます(牧野さん)
ラケットや自転車製作などスポーツ用品にカーボンを取り入れてきたヨネックスが作った、一般ランナーのための故障しにくいシューズ。元オリンピックランナーの谷口浩美氏と共同開発で、故障を防ぎつつスピードも出せる仕上がりに。
4. 反発性を生み出す独自開発のソール
ニューバランス
「フューエルセル レベル M BM」(1万3750円)
カーボンは入っていないモデルですが、ソールの反発力が高く走りは軽快です。かなり軽量でフィット感が高いところも気に入っています(牧野さん)
独自開発のソール「FUEL CELL」を前足部に配置することで蹴り出しの際に弾むような推進力を生み出す。まるでソックスのように自然にフィットするアッパー素材を採用することで、レースも練習も心地よくサポートする。
5. 体が勝手に進む秘密は舳先のようなつま先にあり!
アシックス
「グライドライド」(1万7600円)
“タイムは関係なく、楽しく走りたい”そんな人向けです。転がるように足が前に出るので、体力の消耗を防ぎながら走れます(牧野さん)
弓形のソールデザイン「グライドライドソール」と、前足部のハードEVAシートが優れた強度を発揮。スムーズに足が前に出る回転モーションを生み出す。クッション性も高く、着地時のふわりとしたフィーリングも◎
本記事の内容はGoodsPress3月号64-65ページに掲載されています
[関連記事]
ケガや疲れにつながる微振動を吸収!最新ランニングシューズで長距離にチャレンジしよう
運動を始めようかな…ってなったらまずは足元から決めないとね!
GORE-TEX仕様になって防水性がアップしたホカ オネオネのトレランシューズ
(文/ミラソルデポルテ)
- 1
- 2